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2020.09.06

「パブリック 図書館の奇跡」

原題は"The Public"
公共図書館を舞台に、公共を巡る人々の考え方の違いと騒動を描いている。対立が先鋭化し、中立的な公共が崩壊しつつあるとも思える昨今、タイムリーな問題提起作。

場所はシンシナティ。米国中部で冬は寒い。公共図書館には職にあぶれたホームレスが朝から晩まで滞在しておとなしく知識の吸収にいそしんでいる。閉館時間になると彼らは当然外へ出て、今夜も凍てつく夜を路上で過ごすのだ。シェルターはあるものの、絶対数は足りておらず、時折凍死する者も出る。弱肉強食の米国社会の暗部である。

とりわけ気温の低いある日。ホームレスたちは閉館時間になっても退館せず、一晩を図書館で過ごすと宣言することから、騒動は始まる。

この、普段と違う夜を巡って、図書館司書たち、館長、警察、市長選挙の候補者、警察の交渉役、一般市民、そしてマスゴミが、それぞれの思想と行動を刻んでいく。

様々な人物像が描かれていて興味深いヒューマンドラマでした。騒動の治め方が、ちょっと想像を超えて笑えるぎりぎりの妥協点でしょうか。

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