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September 2020

2020.09.27

「スノーマン 雪闇の殺人鬼」

NETFLIX

私的には、はずれでした。まあ時々は仕方がない。

次々起きる奇怪な殺人事件、何の共通性もないように見えて、時間的にも隔たりがある。話の収拾がつかない。

なんとなくこれは大物のスキャンダルかと思わせる方向へ誘導しておいて、最後に意外な犯人が明かされるが、その意外さに納得感がない。
作り手の勝手な筋書きに振り回されて疲れた。

つくづく、筋の通った脚本を書くのって難しいものなんだなとわかる。というくらいの残念作品でした。

 

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「アダムス・ファミリー」

あのテーマ曲が帰ってきた! それもCGアニメにバージョンアップして!
なつかしいです。といっても内容はほとんど忘れていて、曲のイントロだけが頭に残っているだけなんだけど(汗

なので、子供向けの悪趣味をウリにするお笑い映画だと思って、気分転換に見に行ったのだけれど、これがどうして、結構きちんとした?お話でよかったです。

普通の会話で、「それはすばらしいね」を「それはおぞましいね」に言い換えるような裏返しの手法はそのままなんだけど、お話自体も、裏返しのような一家から見て普通の人の世界がいかに変で歪んでいるかを如実に見せてくれます。

特に、悪役?相当の再開発業者の女の、歯ごたえのある豪胆な悪役ぶりが見ものです。

他の人間たちがアダムスファミリーの奇怪さに慄く中で、ひとり金儲けの為なら他の何も目に入らず突き進む破壊的な様子が、まるで人間よりむしろアダムスファミリーの方に近いのではないかと思わせます。

これが結局、ファミリーの一人と一緒になってしまうオチに繋がっていて、ほんと徹底してます。人間の中にもモンスターはいるのですねえ。そして、それは誰にでも少しづつあることなんです。

これを、LGBTなどに引き寄せて語ることももちろんできますが、「少数者」の話として見るよりは、誰にでもある変なところ、という風に見る方がいいのだろうと思いました。

続編の計画もあるそうなので楽しみ。

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2020.09.20

「テネット」

普通、一つの作品世界にはプロットがありストーリーがあって、そうした骨組みの中に伏線が張られて、それが回収されることでちょっとした感慨を見る者に抱かせる。いわば伏線とはスパイス。のはずだった。

然るに。

本作は全部初めから壮大な伏線。伏線こそがプロットでありストーリー。みたいな。映画は中間点まで行ってから、始まりに向けて戻っていきますみたいな。その過程で登場人物達の様々な生き様が映し出されていく。

なんなのこれ。すごいわ。

壮大な recursive call
女の危機が termination condition
スタックを戻るごとに彼の、彼女の、物語が回収される。

て感じでしょうか。

クリストファー・ノーラン、期待を裏切らない出来の作品を捻り出しましたね。

前半で見せてくれる富豪的アイコンの数々も目に眩い。

コロナ明けに最高のパワフルな一本でした。

 

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2020.09.13

「アンという名の少女」

NETFLIX

原作はもうほとんどうろ覚えでしかないけれど、なんとなくの感動は覚えている、というくらい。3シーズンあるうちのまずは1シーズン7話を見ました。

いやーこんないい話でしたっけ? とりわけ1、2話など、アン・シャーリーがとうとう居場所を見つけて、アン・シャーリー・カスバートになるまでは、思わずもらい泣き。

その後も、今で言うなら田舎の閉鎖的なコミュニティの中で、初めはのけ者にされながらも、その楽天的な明るさと実務能力とで、人々の信頼を一歩一歩勝ち得ていくのが、たまらなくよいです。

アンは決していわゆる聞き分けのいいよい子ではなく、むしろ破天荒で型破りなところが人の反感を買いやすいのですが、それがいつの間にか、アンと一緒にいると思わず笑顔になっていく。もちろん、お話ですから、彼女の能力や魅力を存分に発揮できるような事件がタイミングよく起きるのは、現実とは違いますが、それはそれ。
とりわけ、マリラがアンに感化されて、目に見えて変わっていくのがすばらしい。その移り変わりの中で、マシューとマリラの不運な過去も少しづつ明かされてお話に深みを与えます。

フェミニズム的な切り口は、いまや一般向けのこうした作品では避けられない要素ですが、それもアンというキャラクターにぴったりで抵抗感なく、ごく自然に描かれます。

なんていい作品なんでしょ。
シーズン2,3も時間を作って早く見たいです。

 

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2020.09.06

「パブリック 図書館の奇跡」

原題は"The Public"
公共図書館を舞台に、公共を巡る人々の考え方の違いと騒動を描いている。対立が先鋭化し、中立的な公共が崩壊しつつあるとも思える昨今、タイムリーな問題提起作。

場所はシンシナティ。米国中部で冬は寒い。公共図書館には職にあぶれたホームレスが朝から晩まで滞在しておとなしく知識の吸収にいそしんでいる。閉館時間になると彼らは当然外へ出て、今夜も凍てつく夜を路上で過ごすのだ。シェルターはあるものの、絶対数は足りておらず、時折凍死する者も出る。弱肉強食の米国社会の暗部である。

とりわけ気温の低いある日。ホームレスたちは閉館時間になっても退館せず、一晩を図書館で過ごすと宣言することから、騒動は始まる。

この、普段と違う夜を巡って、図書館司書たち、館長、警察、市長選挙の候補者、警察の交渉役、一般市民、そしてマスゴミが、それぞれの思想と行動を刻んでいく。

様々な人物像が描かれていて興味深いヒューマンドラマでした。騒動の治め方が、ちょっと想像を超えて笑えるぎりぎりの妥協点でしょうか。

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「ケモノヅメ」

巷のアニメ映像は、萌え様式とでもいえばいいのか、様式化が進んでいるように見えて、それで物語の消化はよくなったけれどなんとなくマンネリ感もある。

そこへ、湯浅政明という人が現れて、独特の絵柄や動きを見せてくれる。新鮮です。

本作ではコミカルな調子とエログロで凄惨な血と肉の質感とが平面的な絵柄を通して同居して絡み合いながら、いい旋律を奏でている。奏でるといえば音楽も大人向けで、絵と動きと音と物語の混ざり具合が妙にいい。それでいて実は青春映画なのね。

声優の声だけは萌え様式化から逃れられていないけれど、この作品ではそれでよかったかもしれない。このうえ声までもが宮崎作品のようになったら、一般向けとは言い難いものになっていただろうから。

アニメーションの完成度は高くはない。それどころか実験映像かと思うようなシーンもところどころある。リッチなアニメを見慣れた人からは手抜きとか予算不足とか言われかねないところだろう。けれどもそれは作品の面白さをあまり損なってはいない。

とかいろいろ理屈は言ってみるけど、つまりは面白かったのでお勧めです。

お話もキャラクタも典型ばかりだけれど、組み合わせ巡り合わせ噛み合わせがいいのだろうとおもいました。この絵柄でエロいところもいい。

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