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2020.07.26

「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

いい映画だなあ。そしていつも通りのウッディ・アレンだ。

本作はロマンティック・コメディの衣を纏っていて、その面で上質であるのはもちろんだけれど、それ以上に、いわゆる文化資本というものについて、作り手の考えをとてもよく表しているように思う。その考えに共感を抱く人にとっては、とてもいい映画なのだ。

我々都市の住人は、貧富の程度の差こそあれ、厚い文化の層の中で育まれ大人になっていく。田舎に憧れを抱きはするものの、その文化資本を捨てることはできない。否応なくそこへ還っていく。

もちろん、自らの出自はそうではないことを忘れることはない。だから憧れを抱いたり、一時はそこへ自分を埋め込もうとしたりもするけれど、最後は決してそうはならないのだ。

見方によっては麻薬的であるかもしれない。でもそれは、輝く太陽と厚い曇り空のどちらに馴染むかという違いに過ぎないのだから、引け目を感じることはない。

来し方を忘れず、しかし行く末を誤らず、そうして我々は今日も雨の石の街で生きていく。

そうした雰囲気がよく出ていて、改めていい映画だなあ、ウッディ・アレン上手いなあと思うのでした。

配役がまた絶妙。エル・ファニングとティモシー・シャラメは言うに及ばずだけど、お、こいつジュード・ロウかな?そうだよな?というところで笑ってしまったりします。またまた好きになりましたよジュード・ロウ。はまり過ぎてるでしょw

 

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