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April 2020

2020.04.29

「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています」

爆笑しつつも夫婦というものについて深く深く教えてくれる良作。
もうそれ以外言うことありません。

「月が綺麗ですね」ってそういう意味があったのか。ということで勉強にもなりました。
「死んでもいいわ」がセットなのね。よし覚えたぞw

映画館ではこの作品はパスした覚えがあって、勿体ないことしたと今にして思う一方、他の映画館向け作品と比べると確かに地味で、見比べると選ばれにくいだろうなとは思います。

サブスクリプションで割安で見られるからこそ、見てみる気になれたという意味で、コロナ騒動とNETFLIXには感謝したいです。

 

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「The KING」

どの王様かと思って見てみたらヘンリー5世でした。
作中では戦いが嫌いな放蕩息子という設定だけれど、実際は正反対の、政治、戦争に長けた人だったらしい。といっても、シェイクスピアはじめいろいろな解釈があるそうだから、まあこれはこれで、そのうちの一つなのだろう。

作品としては、例によってアジャンクールの戦いを山場にしたお話で、英国人にはお馴染みの胸のすく話とい見える。我々にはさして面白いわけではない。当時のフランスの内紛と絡めた策謀の方を、本当は見たいけれど、そういうのはなかなか映画としては成立しづらいのだろう。致し方ありません。

 

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2020.04.27

「イン・ザ・トール・グラス -狂気の迷路」

NETFLIXオリジナル。スティーブン・キング原作。割とよくできたホラー映画。たぶん、映画館の暗闇で大画面で見ると結構怖いはずという印象だが、14ichPCの画面では怖さは半減していると思う。

その残念さを補っているのが、メッセージ性。これは原作の力なのだろう。

お話の舞台は、入ったら出られない叢の迷路。登場人物たちはその中で、死を繰り返しながら永遠とも思える時間を彷徨う。彼ら6人のうちたった1人だけが、これまでの自分の行いや考え方を述懐し後悔している。この作品の言わば語り手になっている。恋人が妊娠したとき、自分の学歴や経済力の無さから堕胎を望んで、それが元で別れることになったことを、繰り返し自問自答している。

恋人の方はそのことを多少根に持ってはいるが、同時に、自分ひとりでは生まれてくる子供を育てる自信がなく、養子に出そうとしている後ろめたさもある。とはいえ、身重の体でこんなわけのわからない状況に投げ込まれ、それどころではない。彼女の作中の役割は、妊娠中の女性が感じる様々な不安を体現することだろう。そこにホラー風の味付けを重ねているのが、この作品の秀逸なところだ。男にはわかりかねるその不安を、こういう形で見せてもらうと、少しは分かった気になれる。

いささか複雑な事情を抱えた元恋人達と彼女の兄で3人。その一組のほかにもう一組、夫婦と子供一人の家族も登場する。こちらはDVの問題提起だ。この父親が結構怖い。役者がいい具合に怖さを出している。陽気で気さくな人間を装っているのが一層怖い。お話の中盤以降の修羅場で本性を現してくる。

結局、彼らの永劫と思えたループは、一人の犠牲によって断ち切られ、物語は終結するのだが、結婚とか妊娠中絶とかについて、何某かの思いを観る者に残してくれる。身重の彼女が迷った末に決めたことも、ちょっぴり明るく清々しさを感じさせる、いい終わり方でした。

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「アイ・アム・マザー」

「アイ・アム・マザー」
https://www.netflix.com/title/80227090

NETFLIXオリジナル。SFスリラー。
閉ざされた人工的な環境の中で人々が暮らしている。外界に出られないのには理由がある。ところがある日、何かの偶然でその理由が崩れ、物語が動き出す。そういうシチュエーションの作品は結構多い。動き出した先に何を置くか、そのために前段に何を置いておくかで、それぞれの味わいが出る。

本作は、何だろう。母という存在を置いているのは間違いないのだが、普通にイメージされる、惜しみなく与える愛などというものとはたぶん違う。母性・・とも違う。なにしろ「それ」は機械なのだから。

それには目的があり、そこに向かって周到に、何重にもプログラムされている。母性というより理性から作られているのだ。驚くことに、それは母性を演技する。もっと言えば、深い洞察に満ちた行動を取る。子供に悟らせずに汚れ仕事も実行するし嘘もつく。それが子のためだと命じる理性の声に従って。

親の心子知らず。
そういうことを、見終わった最後に思い出すような、味わいのある作品でした。
赤子の弟を抱いた彼女もまた、やがて彼女の育ての母のことを理解するようになるのでしょう。
そこに、プログラムされた機械と生身の人間の違いはないように見えました。

機械が残した親心を、生身の人間である彼女が受け継いだかのような表情で終わっているのが、とてもいいです。

この後も機械たちは彼女とその家族を見守っていくのでしょうけれど。
機械はここでは神。新たな造物主というわけです。

まあ、さらに言えば、その機械をプログラムした人間が、もうこの世にはいない人間が、いたわけですけれど。

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2020.04.26

「The Witcher」

まあ、よくある剣と魔法のお話。これを見ていて、映画とTVの違いがなんとなくわかった気がしました。TVは、ところどころ派手なアクションシーンを入れて見せかけは豪華だけど、あとは会話劇で尺を稼いでいる。映画が2時間かそこらに凝縮された宇宙を作り出すのに対して、TVシリーズはなにしろ長いから、密度の薄さは否めない。しかも会話劇の中身がお昼のメロドラマかせいぜい大河ドラマくらいになってしまう。日常のお悩みごとの反映が多いのだ。

この作品も、運命とか大仰なことをいっているけれど、その実、子供が欲しいのに仕事に時間がとられてできない、今風の女性の生き辛さみたいな話になってしまっている。やれやれ。

もちろん、TVドラマでも濃いものはあると思うけれど、平均的なレベルはまだまだか。金の掛け方の問題ではなく、毎週放映していく合計の尺を消化できていない感じ。

早く映画館が再開しないかな。

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2020.04.25

「ダークタワー」

原作は長大かつ複雑な世界観を持った大作らしいけど、映画はその欠片も感じさせません。
なんかよくわからんファンタジーアクション映画。まあ、ちょっと異色のガンマンの映画か程度。

ではガンアクションが凄いかというと、いまいち。
これでは褒めるのが難しいです。

マンダロリアンみたいに、孤独なガンマンと特殊な能力を持つ子供の組み合わせになっているのは、まあよしとするとしても、正直な感想は、つまらない、ですね。

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「アナイアレイション」

NETFLIXオリジナル作品。

梵我一如というのは、宇宙原理と個体原理が同一であるとする思想だそうだけれど、この映画はまさにそれ。タイトルの"anaialation"の訳としては「消滅」とか「全滅」が出てくるけれど、おしまいの方に「霊魂消滅」という訳もある。それを物語と映像にしてみるとこんな感じだろうか。

霊魂が消滅するのだから、それは我という個体にとってはいささ恐怖でもあるかもしれないので、一見ホラー風に見えるのだろう。けれども、この作品はもう少しいろいろな味付けがある。

消滅に対する登場人物たちの向き合い方は様々だ。拒否あり、受容あり、観察あり、自己破壊(自殺とは違うとされる)あり。クルー全員が結局anaialateされる中で、主人公のスタンスは中立の周辺を揺れ動いている。観察し、一部受容し、戦い、そして個として生還する。と思った最後に、本当にそうだったろうか、梵を甘く見ていなかったか、と思わせて映画は終わる。

ゆっくりしたペースを最後まで崩さない中に、多少エキサイティングとかセンセーショナルとかを感じる場面もあるものの、全体に尖った要素を押さえている。そのことが、女性的というか、独特の波動を生み出していて、思わず最後まで引き込まれました。

なんだか煮え切らない、中途半端な感じにも見えるけれど、作品全体のゆったりした波動を受け止められれば、それなりにいい作品と言えそうです。ワタクシ的にはそう思えました。

 

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2020.04.12

「ファイト・クラブ」

野生を取り戻せとか、世の中をよりシンプルに、とかの主張は理解できる。拳の論理。

1999年公開だから、世界は世紀末気分が最高に盛り上がっていた頃だ。既成の枠組みをぶっ壊せといった主題は、まことにタイムリーだったろう。

「JOKER」は、世の中に鬱積した不満を主人公が扇動し火をつけて収集が付かないカオスを現出させるという形をとっている。そこにあるのはいたずらに暴走する群衆の姿だった。

この「ファイト・クラブ」の方は、既成のものをぶっ壊す点では同じだけれど、手法としては、自ら静かに動くことを選んでいる。計画し組織し訓練し目標に向かって真っすぐ進む。もちろん、それをそのまま描いたのでは映画として面白くないから、種明かしは最後までとっておく。

前者の破壊が結果なのに対して、後者の破壊は目的であり終点だ。

その先に何があるのか、作り手は描いていない。世紀末なのだからそんな先のことを考えても仕方がないということなのだろうか。

で。2020年の現在。

世界は何度か危機を迎えたものの、どうにか立ち直り、あるいその振りをしながらなんとなく続いてきた。そこへコロナ禍が来た。

明日の見通しも立ちにくい。既成の枠組みは、暴徒によってではなく、爆薬によってでもなく、疫病によって壊れようとしている。

一体この先に何があるのだろう。

本作の主人公と同様に、ただ崩壊していく高層ビル群を眺めるよりほかにないのだろうか。映画はそこでおしまいだ。

でも現実には、明日の世界の姿を想像して、それに備えてやれることに手をつけることはできるだろう。やろうではありませんか。

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