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2020.02.21

「スキャンダル」

はじめに、実際の事件に着想をえているけれど、フィクションだよーん、というお断りが出ます。何しろ、セクハラ訴訟を起こした元美人キャスターは巨額の和解金と謝罪を受け取る代わりに守秘義務を負ったので、この件について何も話すことはできないのだそうで。

むしろそのことは、映画作品の作り手に良い意味で自由を与えたと思います。話の流れに淀みは無く、扱っている主張や立場も、この種の話にはありがちな定型。

もちろん、よくできた作り話というつもりはありません。これに近いことが、たぶんあったのでしょうから。嫌ですねえハラスメント。

和を乱すことを恐れない一握りの勇気ある人たちのおかげで、こうして歴史は少しづつ前に進んでいくのだ、という感じが出ていてよかったです。米国の場合はその勇気に対して相応の報酬が得られる場合があることも描かれています。ここは事実のとおり。日本だとたぶん、声を上げた最初の人は、和を乱した罰として人生を棒に振ったりするのでしょう。一揆の首謀者は訴えが認められるかどうかに関わらず死罪みたいな。

いや、米国でも過去にはそうだったのが、この一件でそうではなくなったようだから、お国柄に関わらずやはり少しづつ進歩しているようです。それを見逃さないければ、この映画を見た意味もあったというものです。

ハリウッド至宝の三大女優との謳い文句、大げさではなく凄いですね。とりわけシャーリーズ・セロンは出番が多いこともあるけど、見ているだけで飽きません。最初にFOXというメディアの権力構造を彼女がざっと解説するのだけれど、のっけから観客のハートを鷲掴み。それだけでもう作品の流れは決まったみたいな。アカデミー主演女優賞を取るだけのことはありました。

 

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