「グッドライアー 偽りのゲーム」
イアン・マッケランとヘレン・ミレン。これは詐欺師どうしの壮絶な騙し合いかと思ったら、そうではなかった。もっと真摯な物語が隠されていた。タイトルを The Good Liar とだけにしておけば、その感じが伝わったと思うけれど、例によって余計な邦題がミスリードしてくれる。この物語はゲームなどではないのだが。
ただ、それくらいに煽らないと、やや盛り上がりに欠けてしまうのは否めない。過去に遡って驚くべき物語が明かされはするのだが、その部分のリアリティが難しい。全体の尺の中での割合が短く、端折った感じになってしまっている。ヘレン・ミレンの力量でかなりカバーしてはいて、その場は納得させられるものの、後で振り返ると、さすがに弱い。そこがこの作品の厚み部分なのに。
でもまあ、ベテラン二人の掛け合いを見られてよかったと、しておきましょうか。
それにしてもイアン・マッケランが作る悪人の相は迫力ある。天真爛漫の反対語は奸佞邪智と言うのだそうだけれど、まさにそれ。いいもの見せてもらいました。