「ペット・セメタリー」
スティーブンキング原作とか。なので破綻はない。映像はなるほど怖い。妻の過去というのが取ってつけたようで不自然。確かにあれで怖さが増しているけれど、本作の骨子とまるで無関係なので、細かいことが気になる人は、そこが少し白けるかもしれない。小説の中では、何か関連付けが為されているのだろうか。
死んだ者とのつながり、というのはわれわれ日本人は割と得意領域だと思う。その意味で本作は理解はしやすい。ただまあ、もうすこし儚さや諸行無常を感じさせてほしいと、和を尊ぶ民族としては思う。
本作の蘇ったやつらは、何というか、逞しいのね。ぶっ殺す、ホットスポットに放置、蘇る、ナカーマ、以上。みたいな。
それじゃ趣というものがないだろうと思うんだ。獲物というか犠牲者を追い詰め懺悔させた上で、自ら進んで死者の仲間入りをさせるような、抵抗は無駄だと悟らせ諦めの境地に至らせるような、情緒あふれるお誘いの方が、ワタクシは好みです。そんで土壇場で、いや、やっぱり俺は生きることにしたぜ! 愛など知らぬ! 悪鬼滅殺! といった展開の方がよかった。
ま、アメリカ人は比較的シンプルに、ああいう感じなんだな。
娘を想うあまり狂ってしまった父親の、その巻き添えをくう家族の、愛ぞ哀しきということで、よろしいんじゃないでしょうか。