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2020.01.25

「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」

ドンキホーテって、学校の教科書に挿絵が載ってたあれですか。風車を巨人と勘違いして突撃するやつ。
くらいの認識しかなくて。
本としては前・後編があるのね。そして、時代と共に評価も変わってきていると。
全然知りませんでしたわ。

映画はというと、これがまあ、狂気の連続というか。ぐいぐい引きずられていきます。原作本から多くを借り受けてはいるのだろうけれど、映画作品としてはたぶん、テリー・ギリアムの解釈によるオリジナル。

現在と過去、現実と妄想、現と夢、それら対を成すものたちが、入り乱れてもみくちゃになっていきます。半端ない。

で結局のところ、物質的豊かさとか経済成長とかの根にある飽くなき貪欲にそろそろ飽き始めているものの、依然としてその呪縛から逃れられないどころかさらに積極的に身を投じていく我々の世界にあって、息絶え絶えになりながらも細く連綿と続いていく灯を、監督は提示しているのでしょうか。
みたいなわかったようなクチをききたくなるわけです。でも本当のところは、なんだかわからない。

見終わって一つだけ感じたことは、この作品は一見支離滅裂なのに、妙に統一感というか一つのものとしてのまとまりがある感じがする、ということです。

たぶん、理屈抜きで、これがテリー・ギリアムという人なのでしょう。

そういうことで。

誤解のないように申し添えると、これは駄作でも失敗作でもありません。
その反対で、快作/怪作と言ってもいい、面白い作品だと思います。

うまく本質を言い当てるのが難しいのは、良い作品。
これ、原作の力が監督に取り憑いたのかもしれませんね。

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