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2020.01.18

「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」

ジャッキーチェンをVFXで若返らせて撮った、人間と妖怪の悲恋もの。
清代に書かれた原作があるということで、お話はそう悪くない。結末もまあそうだろうなと。
途中、少し間延びしている感じがあるのは残念。ジャッキー映画のスピード感は全くない。

それに、いまのあの国の体制下では、社会風刺をにおわせることもできないだろうから、ひたすら悲恋の要素だけを追求することになる。面白みに欠けるのは仕方がない。

と、終わった直後には思ったのだが、スタッフロールを見ながらふと、違う意味を勝手に読み取ることもできるのではないかと思いついた。

妖怪というのは、漢人にとっては中華の辺境を脅かす諸部族を意味してもいたろうなと。
その妖怪の女と、人間たる漢族の男が、悲恋の糸で結ばれるお話。それは何を意味しているだろうね。

ジャッキー・チェンは、中共政府に忠誠を誓って映画人として活動を続けることを許されている。表向きどうであれ、裏の事実はそんなところだろう。そういう立場の彼が、それでも今の中国や香港やそのほか辺境の自治区などについて、もしまだ何か思うところがあったとしたら、どういう作品作りをするだろう。

これがまさに、そのひとつの答えなのではないか。中華の人々と辺境の人々との悲劇的な交わり。

まあ、妄想ですけどね。
「ラスト・ソルジャー(大兵小将)」を作ったジャッキーチェンが、そう簡単に考えを変えるとは思いたくないので、そうんな風に本作を受け止めてみました。

 

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