「ラスト・クリスマス」
こんなの泣いてまうやないか。
という映画を腕によりをかけてつくるのが、この時期を目がけたクリスマス職人達の技。本作も素晴らしく泣かせてくれますね。
はじめは、エミリア・クラークの放埓なドジっ娘ぶりに少し引け気味でしたが、その背景を知るにつれて胸が微かに痛み出します。そこへテツガクテキな好青年が現れて、ああクリスマスだラブロマンスなんだなあと思わせてくれると思いきや・・!
なんですかこれは。泣かせの常套手段にしても上手過ぎるじゃないですか。これ、クリスマスものだと思って軽い気持ちでカップルで見に行くと、お互いの価値観をそれとなく問われてしまう硬派な面も備えている作品です。油断は禁物(笑。
ほかにも、クリスマスという枠を生かしながらブレグジットに揺れる英国の断面とその良心をしっかり見せてもくれます。
あれこれあって、カップルが望む結末ではないかもしれませんが、寒い季節に心温まる良作でした。
それにしてもエミリア・クラーク。オバハン顔とキュートな顔とで天地のギャップがあって、見ている方はそれだけで揺さぶられます。演技が上手い下手とかいう基準の埒外。なんなのこの人は。やっぱり上手いと言っておくべきなのか。
実はこの人、くも膜下出血で大手術を二度もしているとか。それを思うとなおさら本作の展開は胸を締め付けられるようなところがあります。
ほんといい話だなあ。
【追記】
そうそう、これは価値ある箴言だと思うのがあったのでメモしときます。
どこか古典からの引用なんですかね。
「小さな行いの積み重ねがその人をかたちづくる」