「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」
このシリーズがワタクシ好きでして。1ですっかり魅せられました。それなのに、2は日本未公開。世界では大ヒットしたというのに。邦画界の事情なのかわかりませんが釈然としません。
もやもやしていましたが、3の公開。素直に嬉しいです。なぜかまたしても上映館は少ないのですが、でも観られてよかった。たいへん満足しました。
DreamWorks はこのところパッとしないですが、ここぞという場面のイマジネーションと描写力は相変わらず素晴らしい。本作ではもちろん、ドラゴンの故郷の映像が最高です。空と雲の描写もいい。映画館の大画面で見ると本当にこちらが飛んでいるかのような臨場感。この感じをなぜ出せるのか、他の制作会社はもっと研究してほしいです。
お話も文句なし。ヒックとトゥースは、1での戦いで負った怪我がもとで、義足、義翼の助けを借りる体となり、互いにその弱点を補いあうことで、大空を飛び回る無敵のドラゴン/ライダーになるのですが、シリーズ締めくくりの本作では、その彼らにとうとう別れの時が訪れます。このあたりの切なさがとてもよい。子供の情操教育にもうってつけだと思います。
ひょっとすると、日本で2が公開されなかった理由は、主人公のヒックが片足義足であることなのかもしれませんが、私はむしろ、二度と元通りにはならない不完全な体の主人公が、同じく不完全な体のドラゴンと友情を育み、助け合って何かを成し遂げるところを、子供たちに見せて、考えさせたらいいと思うのです。
主人公だけはいつも傷一つ負わないし、怪我をしても必ず直るなんて、物語としては真実味と深みに欠けるだろうと。
このシリーズの本当の値打ちは、主人公が不完全であること。そして、そんなことに頓着せずに知恵と工夫で大活躍するところにあるわけですから。
いつか必ず、2を含めて通しで見ようと思います。