「アイリッシュマン」
NETFLIXの配信開始前なのに、渋谷アップリンクに掛かっていた。この後「マリッジストーリー」も上映するそうで期待大です。
ネット配信向けだからなのか、3時間半という長さ。知らずに見終わって映画館を出て時計を見てびっくりです。最後の方が少しダレたのは、ネット配信ゆえの緩みなのでしょうか。
とはいえ、ロバート・デニーロ、アル・パチーノが出ずっぱりで、飽きるという感じはありませんでした。やはり名優は偉大です。
お話は、裏社会と表社会の両方にまたがって活動してきたある男の一生、という感じで、人はそこそこ死にますが、普通な感じで荒々しさはありません。やるときは手短にあっさりと。
むしろ、仕事だけを考えて生きてきた男が、晩年にそれまでの諸々を精算し、家族には見限られ、言いようのない淋しさを漂わせる点で、裏の男も表の男も何の違いもないのだなということを感じました。
デニーロ、パチーノともう一人、ジョー・ペシがたいへんよかった。彼が演じたのは、実在の伝説的マフィア、ラッセル・バッファリーノという人。広範囲に影響力と人脈・人望があり、様々なもめごとの調整役を務める男。穏やかさと凄みとを併せ持つ物静かな初老の男だが、子供からは決して好かれない。抑制的に行動していても、悪が滲み出てしまうのだろう。そういう人物の感じがとてもよく出ていました。そのマフィアも、年を取れば手は震え足元はおぼつかなくなり、ただの老人でしかない。その老いも、ペシは上手く出しています。
それにひきかえ、デニーロの老人のまあ下手なこと。以前もそれで白けたことがありましたが、今度もまた。デニーロいつも溌剌すぎる(笑
アメリカの歴史を知っていれば、もっと深読みをしながら楽しめたかもしれませんが、私の知識では、ざっとそんなところまでです。
【追記】
こんなページがありました。
ざっと読んで、時代背景がよりはっきりわかりましたです。
アメリカ人なら常識として知っていることなんでしょうけど・・
http://www.maedafamily.com/ansatu/anbu.htm
映画に直接かかわる筋はこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジミー・ホッファ
シーランとバッファリーノの名前も出てきます。