「東京ワイン会ピープル」
この時期、日本のピアニストの卵たちを描いた映画も公開されていて、それを見ると、ピアノというものが、随分日本に根付いている印象を受ける。天才であると同時に職人であることも求められる技芸の世界だからなのだろうか。それは日本人の気質と会うのかもしれない。
翻って、ワイン会についてはどうか。この映画を見る限りでは、残念ながら根付いているとは言いづらい。カタログスペックやら印象やら、それっぽいことを語るだけで、鍛錬の要素がないからなのかどうか。
もちろん、生産者は日々研鑽を積んでいるだろうとは思う。日本の農家は真面目な努力家が多いだろう。けれども、出来上がったワインを飲む側はどうかといえば。。
もちろん、比較の対象を間違えているとは思う。ピアニストと比較するなら、ワイン醸造家をもってこなければならない。だから、トスカーナやブルゴーニュの生産者達を描いた作品は定期的に作られるし、映画としての質が備わってもいる。
ただ飲むだけの一般の我々は、飲み食いのことにそこまで命を懸けていないし、それでいい。そして、その程度の対象では、映画として成立させるだけのテーマにはなり得なかったのかもしれない。
というわけで、本作は、ちょっとこれはどうかなという作品でした。作りも素人っぽいし、映画館の他の通常のラインアップからは完全に浮いている。
そもそも、ワインなのになぜ東京? まあ、いいんじゃないですか。