「SHADOW/影武者」
誰もが善人であり、誰もが悪人である。ということを、太極図に象徴させながら、水墨画のような渋い色調と、かっちりした構図で描き切っている。画面にダレや緩みがない。
妙な武器が出てくる武闘シーンはエンタテイメント性を盛り上げるし、端正な妻が今生の別れで見せる乱れ姿はほどよく背徳の色香があるし、最後の宮殿の晴れやかなシーンで目出度くエンディングかと思えば、突然、映画全体を締めくくる陰謀の修羅場に突入。虚実が交錯する二段、三段の 劇的な変化で、決着まで一気にもっていく。
チャン・イーモウ、やっぱり凄いです。
これ、傑作と言っていいと思います。
クレジットを見ると、オール中国な作品で、きっと厳しい検閲があるのだろうけれど、時代劇ならさほど影響は受けないのかもしれません。そういう分野にシフトした監督は、大正解というべきでしょうか。
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