「真実」
この種のことを日本でまじめにやると、なぜか重苦しく湿っぽくなる印象がある。
我々は真実に向き合うのが苦手だ。演じることもまた真実だと信じられない。
だから、海外でこれをやってくれてとてもよかった。
軽やかで、諧謔があって、真実というものと戯れながら素直に向きあいやすい。
劇的な趣向は無い。
たしかに母娘が鋭く衝突する場面はあるが、大人の物腰で制御している。こういうところはハリウッド映画ではやれない良さだ。長い間に観客の違いが積もって、これを生んでいるのだろう。
代わりに、はっとさせる一瞬がたくさんちりばめられている。
上質な、という言葉をなんの含みもなく贈ることができる。
何度も見返して真似したくなる、とても良い作品でした。