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2019.10.04

「ジョーカー」

いやー。感想を書きづらい作品というのが世の中にはありますが。
やばいものをやばいタイミングで見ちゃったですよ。
どうやばいか。

一応、前宣伝ではJOKERは悪だよーんという建前を言っています。確かに、彼の考えと行動は、妄想に基づくことが明かされて、同情するのは難しい。また、現在の秩序を破壊するものだから、変化を嫌う立場から見れば問答無用で悪だともなるのでしょう。イノベーション?それ悪だよねw というのと同じです。

けれども、そのことの是非とは別に、持てる者はますます持ち、持たざる者は持てるものをも奪わる傾向があからさまであることも否定できません。ジョン・ウエインとアーサー・フレックでは、およそ出発点からして天地の違いがあり、同じ努力をしても報われ方には雲泥の差が出てしまうことは避けられない。かといって、フレックのような人間すべてに十分な機会を用意することもまた不可能です。これを理不尽と言わずしてなんとする、といったところです。

斯くの如く、私のような人畜無害な一般人でさえ、つい力んでしまう魔力が、この作品にはあるわけです。そこがやばい。

まあワタクシとしては、もう一人の自分が、他人を羨まずに、マイペースで行くところまで行けばいいじゃないと囁いてくれるので、受け流せるわけですが。


本作は、アカデミー賞間違いなしという評判だそうだけれど、違うと思うなあ。これにはもっと別の、今は存在しない種類の賞が必要だと思いますけどね。この呪いを解くためには。

ホアキン・フェニックス、いままでのジョーカーと違って、主役という立場の違いがあるとはいえ、誰よりもジョーカーらしい、素晴らしい仕事をしてくれました。

【追記】
https://twitter.com/shintak400/status/1185365273806696448
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/67821

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