「フッド:ザ・ビギニング」
いわゆる義賊の映画化。義賊というものがいいとか悪いとかにはあまり触れずに言うと、アクションは結構よいけれど、現状の世の中を一面的に写そうとし過ぎた感じ。
中東で戦う十字軍の描写も、帰郷してからのあれこれも、現在の格差を意識させ過ぎている。それが意図なのだろうけれども、少々あざとさが目立つ。
フッドの正体が割れて捉えられ、行政長官の前に引き出されたときに、国王に告発するとフッドが言い放つ場面がある。ここでの映画としての間合いの取り方は微妙だった。少し長目の沈黙を置いているのだが、その間に、見ている側はいろいろな想像を掻き立てられる。例えば、国王は黙認か場合によっては積極的に加担してるのでは、といったような想像だ。
映画では、さすがに国王に告げ口されては困るかのような流れにしていて、まあ国王も悪人にしてしまっては現代のイギリス人から相当な反発を食うリスクがあるという自重は感じられました。
穏健な手法で世の中を変えていけるのか、それとも過激で暴力的な手段が必要なのか、その辺りをかなり意識した作品に見えましたですはい。
【追記】
公式サイトのプロダクションノート見たら、もろにそういう意図で作りました的なことを大っぴらに書いてる。監督はCMやTVから来た人で、レオナルド・ディカプリオがプロデューサーなんだ・・・
なるほど、制作現場は、意図に極めて忠実に動いたんだなあ。