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2019.09.06

「フリーソロ」

あまり安っぽい感想を書きたくない。
こんなに緊張した映画を見るのは初めてだ。

ひたすら、すごい。
あの1000メートル近いほぼ垂直の断崖を、素手だけで登ってしまう、そもそもそんなことに挑戦しようという人間がこの世にいる、そのことが。

2年前、「メルー」を見たときは、十分な事前準備を経てなお、登山家が死ぬか生還するかは、運だと思った。
今日、この映画を見て、運の要素など微塵もない命懸けの所業があると知った。

とんでもない人間であり、それを映像に収めたとんでもない映画です。
フリークライマーの独特の世界観、本番チャレンジの難所での一瞬の集中を、カメラに収めた最高のドキュメンタリー。

見ていると、本当に何気ない一瞬だが。
その一瞬でわずかでも計算とずれが生じれば、体はふと岩壁から離れ、ただ石くれのように落ちていくだけだ。

ネットもない。
ロープもない。
翼などもちろんない。
ただ、何百メートルか下の硬い地面に叩きつけられる最期があるだけだ。

 

そうならなかったのは、すべてを計算通りに実行する常人離れした何かを彼が得たからだろう。
終わった後、こう言っている。

「今日は山が怖くなかった」


その決定的な一瞬以外も、凡人の我々にすれば胃が冷たくなる連続です。

本当に生きて帰ってきてよかった。

 

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