「火口のふたり」
興味本位で見に行ったのは否定しない。
なんだけど、見終わって、これは今年のベスト作品にしてもいいと思った。
なるほど濡れ場はそれなりに激しい、というか濡れ場なんて言葉は似つかわしくないほどしっくり自然だ。
でもこの作品のよさは、その合間々々にふたりの間で紡がれる数々の言葉に込められている。
台詞と行為とがひとつながりになって、場面々々の思いを伝えてくる。
懐かしさ、気安さ、切なさ、哀しさ、不安、意外な驚き、正直な気持ち。身体の言い分、などなどなど。
原作は直木賞作家だそう。やっぱり凄いね。
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ところで最近、米国の前ファーストレディ、ミシェル・オバマさんの名言「When they go low, we go high」が再び脚光を浴びているらしい。いかにも米国らしい良い言葉ではある。
この「火口のふたり」に込められたものは、それと対極にある気がする。いかにも日本的な、これも良き想い 。
単純な物差しで比べることはできないのだが、時々思い出して見比べてみたい。