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2019.08.04

「北の果ての小さな村で」

グリーンランドの自然が美しい紀行もの。

農場育ちのデンマーク人が、教師として赴任し、極寒の漁村の暮らしのなかに自分の居場所を見つけていく。

登場人物が全部実在の人。主人公の教師も本人で、いまでもこの村で教師を務めているとか。


たいへんな暮らしだなとは思うものの、一方で、魚を釣り、アザラシを狩り、悠然と暮らす時間の流れに、うらやましさも感じる。

白熊を狩りに出て、足跡を見つけ、吹雪をイグルーを作ってやり過ごし、とうとう滅多に拝めない獲物を発見するものの、見れば子連れの母熊。当然のように「撃つなよ」と言い交す。

何日もの時間と食料を使って来ていても意に介さない。今回はちょっと残念だったな、しょうがない帰ろう、くらいの気持ち。

何を優先すべきか誰もが心得て、共有している。

清々しい感じのする一本でした。

* * *

ところで、グリーンランドってどんなところ?ということで、例によってwikipediaなどざっと眺めてみました。

日本の6倍弱の面積、インドの2/3くらいの島。そこに人口はたったの5万6千人。デンマークとは違う地理・文化圏なので、独立の意向が強いとか。

全島の約80%以上は氷床と万年雪に覆われているものの、地球温暖化が進むと、ひょっとして使える陸地が増えるのではないか。

もしそうなったら、氷の重みで海面下300Mくらいに沈んでいるという陸地が、一体どういう形になるのか興味がある。巨大な内海になるんだろうか。まあ、全部の氷が解けるまで千年くらいはかかるそうだけど。

そこまでいかなくても、ある程度氷が溶けたところで、地下資源、特に石油が採れるようになれば、フィンランド同様、トップクラスの豊かな国になるかもしれない。なにしろたった5万6千人で所有するわけですからね。

地球温暖化で水没が懸念される国がある一方で、氷雪から解放されて飛躍が期待できる広大な土地もある。

温暖化の話には、そういう面もあるてことで。

https://tabi-labo.com/291635/wt-greenland-ice

https://ikouyo-greenland.com/spot/tasiilaq/
を見ると、実際にはツーリズム産業が盛んになっているようだ。
この映画の舞台、チニツキラークの地名も見える。

 

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