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2019.08.22

「五日物語 -3つの王国と3人の女」

原題は "Tale of Tales"。 2015年に制作された寓話に基づく映画。ルネサンス期の物語が原作の由。
原題は原作の正式名称だが、邦題は原作の俗称「ペンタメローネ」から採っている。

wikipediaを見ると、ペンタメローネは51の物語から成る、ヨーロッパで最初の本格的な民話集とされている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8D
本作は、このなかのエピソードを元に作られた。

渋谷ヒューマントラストで夜1回限りの上映だったが、タイミングよく見ることができた。
直截的なものより寓話的な作品がもともと好きだという点を差し引いても、本作が極上のストーリーと緻密な映像を備えていることは間違いない。

女の生涯の中の3つの執念を、3人の女それぞれに映し出しながら、じっくりとした展開で見せてくれる。男の目から見れば、愚かで哀れな話なのだが、ふと、女の傍らに居る男達のありさまに気付けば、似たり寄ったり、いやむしろより哀れなものだと気付いてしまう。

そして、執念を描きながらも、それぞれの物語の結末を通じて、因果応報の理も顕している。

最後の場面。見上げた空を背にした鮮やかな絵柄は、限られた時間の中で危ういバランスをかろうじて保ったまま、次の因果が回りだしていることを暗示してはいなかっただろうか。

民話が備える魅力を存分に再現して余韻を残してくれる、記憶に残る作品でした。

 

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