「ライオン・キング 」
えーっと・・・
つまりこれはミュージカルなわけね?
映像だけは超リアルなライオンやハイエナやイボイノシシとかが、突然歌って踊りだすんですよ。なんという異世界。恐るべき違和感。
それに、個々のライオンが人間のような表情を作ろうとしているんですよ。なんという不気味の谷。
ジョン・ファブローらしく、陽気な感じになっているのは評価するにしても・・そもそも無理な企てだと思います。
まあ、それはいいんです。
私が困惑した一番の理由は、人間のストーリーに寄せ過ぎていることなんです。演じているのが人間なら、受容できます。なんとなくシェークスピアのお話みたいだなくらいで許せます。
でもねー。
四つ足の獣たちなんですよ。演じているのが。2Dアニメなら頭の中で咀嚼できるのですが、なにしろ精緻でリアルな3D映像です。そいつらが、人間臭いストーリーに沿って動くんですよ。
無理あるでしょう。ありませんかね。
だいたい、ライオンが王様って、さすがに古いです。動物たちの共生関係はもっと複雑でしょう。単純な上下関係、支配と被支配の関係に落とし込んでしまうなんて、何十年前ならともかく、いまどきどうかと思います。
そうまでして作ったストーリーも、残念ながらやや深みに欠けます。動物にやらせているから誤魔化せていますけどね。
というわけで、これはかなり辛口にならざるを得ません。
企画に無理がありました。