「きみと、波にのれたら」
いいよねえ。これも。
アニメーションとして絵が良いだけでなく、実写ではたぶん表現できないダイナミックな動きや事象を、ストーリーの重要な要素に組み込んで、見せる。泣かせる。要素が有機的に組み合わさっているのがいい。
もちろん、実際にはあり得ない、見ようによってはイカレた女の子の妄想で片付けられそうなシーン満載だけれど、そこは映画だし。逆に現実と少しずれている作品世界が、たくさんの現実のシーンを背景にすることで、リアルな感じを醸すのに成功している、ともいえそう。
ナイーブな感じはいつもどおりだけれど、ストーリーの流れの中でゆるせてしまう。そういう質の高さ、お話の筋の良さが、この監督の作品にはあると思う。
「夜は短し歩けよ乙女」はかなりキワモノにも拘わらず、あっけにとられて最後まで真剣に見てしまった。
「夜明け告げるルーのうた」は少しストーリーが破綻していて粗削りだったけど、やっぱり見入ってしまった。
本作はそれらの作品に洗練を加えてきている。あのリズミカルな歌と踊りのシーンはなかったものの、躍動感と透明感のある絵や動きはさらに磨きがかかった上に、伏線をサプライズな感動や展開につなげる語りのうまさがあった。基本は甘たるい青春ものなのに、飽きずに観られました。
湯浅政明作品、次も期待して待ってます。