「トイ・ストーリー4」
いやほんと、このシリーズには驚かされます。
もうさすがにネタ切れだろうと思って、あまり期待もせずに見に行ったのですが、こんな風に設定に手を入れて新しい命を吹き込むとは。1,2,3それぞれに良かったですが、この4は、これまでのどの作品にも増して素晴らしい。
今回は、たくさんいるおもちゃ達全部を使うのではなく、主要キャラクタに絞ってドラマを作ったのがよかったです。濃くなった。特にボーは、ディズニーが描き出すいまどきの女性像がわかりやすく反映されています。強く、賢く、そして自由。ウッディだけでなく見ている方も惹かれます。
人形として生まれた者の役目は、子供たちを支え育てること。いままで気付かなかったのですが、それは家庭を支える主婦の像と重なります。それが、今回どのように変化するのか、またその中で不変のものは何か。それは見てのお楽しみです。
そして、今回の愛されキャラ、フォーキーは、子供に買い与えられるのではありません。子供がはじめての登園の日、不安の中で自ら作り出します。この考え方は、これまでとは違っていて、些細なようですが重要です。子供と人形の関係を対等で互恵的なものにしています。
前作同様、今回も悪役がいます。前回は少々ネガティブな描かれ方だった悪役ですが、今回は、悪役にも三分の理を持たせてポジティブな印象です。ここの話の流れの作り方、最終的な収め方も上手い。
そしてそして、やはりボーです。かっこいいですね。ウッディに新しい世界を開いて見せてくれる存在。CGなのに、まるで生きているように豊かな表情を見せてくれます。技術がとうとう繊細な心の表現に追いついた、そういう感動があります。
それにしても、これでもう本当に完結でしょうか。寂しい気もしますが、また何か新しい趣向を考え出して、再び楽しませてほしい。そう欲張ってしまうほど、今作は出色の出来でした。