「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」
・・・これ、凄まじいわ。
心のどこかで、まあどうせ怪獣大行進だよね、と侮ってました。
とんでもない。
心臓弱い人は、ちょっと気を付けといた方がいいです。
まあ、確かに大怪獣総出演なんだけどね。
いくつもヤマがあって、そしてタニがそれぞれに意味があり、この稀代の題材の歴史へのリスペクトがあって。
そして次のヤマではエスカレートしていて。それが何回も繰り返し。
これがハリウッドの実力か! て感じです。
思えば、ハリウッドの技術は、これまで十分発揮される舞台を持てなかったのではないか。
エイリアン? プレデター? 小さい小さい。怖いけどそんだけ。
トランスフォーマー? メカメカしくてイマイチ同調しづらい。
巨大宇宙船がでてくるあれとかそれとか? 大きいけどリアルな五感に訴えるものがない。
巨大な昆虫が雲霞のように攻めてくるあれとか? いや、気持ち悪さの方が先に立つ。
それに比べてこのゴジラの、圧倒的な血と肉のたぎり、巨神と悪鬼が一体になった存在感はどうだ。
そう。善と悪、道理と不条理がひとつにあって、われわれ卑小な人間はその向く先を推し量ること叶わない。それがゴジラなんですよ。自然そのものなんです。すっかり忘れてました。
凄い。それ以外言葉がありません。
ハリウッドの技術は、その実力を存分に揮える対象をついに見つけましたね。
これからも続きそうだけど、最初にこんなものを見せられてしまっては、後が続くのか心配です。期待してますが。
ま、ちょっと煽り過ぎかなw
スタッフロールの中に怪獣たちの名前を見つけて、その配役が HIM SELF になっているのを見て、やっと笑いを取り戻せました。
* * *
落ち着いて考えてみます。
シン・ゴジラが、地面に向けて熱い毒の息を滔々と吐き出し鉄とガラスの都市を足元から溶かしていく様は、諸行無常の諦念を感じさせました。とても日本的な情感のあるゴジラだったと思います。あれも素晴らしかった。
それに対して、本作のゴジラはやられてもやられても立ち上がり、最初はねぼけまなこでも強いなくらいだったのが、最後は悪鬼の形相剥き出しで無限のパワー全開、容赦のない破壊をもたらしました。とても米国的だと思います。
その様子が、何十年も前の何を思い出させるか、ここでは言わずにおきたいと思います。
ただ、怪獣たちの激闘の背景に、普通の音楽に混ざって念仏が流れていたのには驚きました。これを作った米国人たちは、日本というものをよく理解している気がします。対して我々は、彼らをどの程度理解しているでしょうか。
とても印象に残るあれこれがちりばめられた、スーパー娯楽作と言っていいと思います。
現場からは以上です。