「ザ・フォーリナー 復讐者」
パスしようと思っていたのだが、見てよかった。
ジャッキーチェン、ピアース・ブロスナン、どちらも素晴らしい。
復讐譚でありながら、感情の泥沼を見せずに、淡々と映し出していく。爆発、銃撃、格闘、全て騒々しいのだが、その底流にある静寂は何だろう。プロフェッショナルは泣き喚いたりしない。ただ目的に向かってその技を淡々と繰り出していく。
その静かさゆえに、怒りの深さが伝わってくる。苦味のある大人の作品に仕上がっている。
ジャッキー・チェンの映画は実はほとんど見ていない。少林寺系のを何本か見たくらいで、他はどれも似たような作品に思えたからだが、もっと見ておけばよかっただろうか。
ただ、「ラスト・ソルジャー」は印象に残っている。あの映画の最後に、チェン演じる主人公は意外な行動に出るのだが、その感触は、本作の感じと似ているかもしれない。ジャッキー・チェンはアクションコメディ俳優として有名になったのだが、笑いの中に常に怒りを潜ませている存在なのだと思う。だからこそ、本作のような味のある作品を作れるのだろう。