「ラストタンゴ・イン・パリ」(4Kデジタルリマスター版)
ベルナルド・ベルトルッチ監督の追悼という企画らしいのだが、目が行くのはマーロン・ブランドの方。wikipediaを見ても、そのほかのいろいろなテクストを読んでも、相当クセのある俳優さんだったらしい。一時期は、そのわがまま勝手なふるまいから、もう落ち目と思われていたところ、復活の端緒となったのが、本作と、もう一本「ゴッドファーザー」だそう。
その本作の方だけれど、今の時代の目から見ると、もうひとつピンとこない気もする。俳優個人の演技は、もちろん凄いものがあるのだろうけど、お話の中身はというと、どうだろう。
しょぼい中小企業(ここでは安宿の経営)の経営者という立場に、そもそも共感を持ちづらい。たいした仕事をしなくても金は一応定期的に入ってくる。時間の自由はある。そういう状況が、現代の総サラリーマン化した一般大衆には共感しづらいのではないかと思ってみたりする。
マーロン・ブランドという人に似合う役は、やはりゴッドファーザーとか、地獄の黙示録のカーツ大佐とか、そっちの方だろうなと思いました。
ただ、この人は人種差別反対、レッドパージ反対の立場を貫いて、そのために本業でも苦しい目にあわされた時期もあったらしい、そういう気骨のある人でもあることは覚えておきたい。