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2019.03.09

「運び屋」

老境のイーストウッドの味わいは、もう確たるものがありますねー。
それを見るだけでいいんじゃないでしょうか。

以前、インタビューか何かで、監督イーストウッドは何を作るのか聞かれて「アメリカ人がそのとき見たいものを作る」みたいなことを言っていましたが、本作はどうでしょう。

家族がなにより大切、ということをストレートに出しているので、まあ、その辺りなんでしょうか。

娘役に、イーストウッドの実の娘をあてているのもそういう気持ちの表れかもしれません。

イーストウッドの世界観というのはシンプルです。

本作では例えば、麻薬マフィアの下っ端が、たいそうな値打ちの麻薬を持ったまま雲隠れしていた運び屋の老人をとうとう捕まえて、ボスに電話で連絡したシーン。「でも奥さんの葬式だったんだぜボス」みたいに老人に同情しているのです。
それまでの強面の彼の怒りようからすると、真逆の顔を見せていて、面白いなと思いました。

下っ端はその日の生きる糧のために生きている。良いとか悪いとかは上の奴らの話だ、という考えが現れているように見えます。

ほかにもいろいろ、淡泊なところや、適度に脱色された享楽的なところ、ふと見せる気骨とか、イーストウッドいいなあと思わせるところがたくさんあって、わりといい1本でした。

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