「七つの会議」
思いのほか見ごたえがあった。まあ野村萬斎の語り部分は、ちとクサイ感じはしたけど。だって萬斎、サラリーマンとは程遠いキャラなんだもん(笑)。
私は、一応今は勤め人なわけだが、こんな濃ゆい世界は知らないので、どの程度リアリティがあるのかはわからない。
しかし、企業というものに澱のように溜まっていく良くないものを、的確にデフォルメして見せてくれたと思う。
このところ、世の中に嘘や偽装が蔓延していて、感覚が麻痺しかかっていたが、ダメなものはやっぱりダメだと言わないといけない、ということを強く訴えかける内容だった。とはいえ、それができていれば、こうはなっていないわけだけど(笑)。
ひとつ面白いと思ったのは、ここでは企業を悪に、役所を中立なものとして描いている点。制作側に規制業種のテレビ局がはいっているということもあるだろうけれど、リアルなインフラを監督する役所は、悪質な偽装を放置すると人命に関わる事故が起きかねないから、それなりにモラルは保たれるだろう、という信頼感が見て取れる。
萬斎の語り部分で、「日本企業は」と言っていたのは、少し割り引いて考えたいところ。欧州の自動車メーカーは軒並み排ガス偽装していたわけだし、どいつもこいつも五十歩百歩というところだろう。駄洒落じゃないよ。
駄洒落と言えば、主人公の「八角」という名前は、発覚に掛けていて、もろにオヤジセンス。本作の舞台にピッタリで笑えました。
組織というものは、あんまり大きくなり過ぎない方がいいんじゃないかなあ、てなことを思った一本でした。