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2019.02.24

「アリータ:バトル・エンジェル」

アクションの得意な監督と、ドラマの抑揚をつくるのが巧みな脚本家と、そして懐かしくもイカレた原作。いうことないです。

仕上がりはもう期待どおり。
天使の顔に戦士の体って誰が上手いこと言えと。
この世に滅びぬ悪はない。ってそれは言ってないか。

そういうくっさ~い言葉が、このサイボーグ少女には、ぴたっとハマるのですよ。なんてかっこいいんでしょ。

ただ。もうちょっと尺を長くとってじっくり描いてほしい気もしました。原作は、もうほとんど忘れたけど、もうすこし狂った世界を描いていたと思うのです。人間も文字通り機械部品の一つになって酷使されているとかね。

その感じが、本作では弱まっていて、サイボーグたちは確かに異様な風体ではあるけれど、ここが狂った世界だという感じは出ていない、そこまで深く描かれていない感じです。

原作で私が覚えていることがひとつだけあって、それはザレムにあった、公衆自殺機というものです。それが平然と、しかもちょっとしたアクセサリとして描かれている。そういう狂い方が、本作にはなかった。

当時はサイバネティクスというのは半分夢物語だったと思うのですが、生命科学とロボット技術の進化の先に、ああいうものが新しい現実として表れてくるのかどうか。

そういう狂気は続編で描かれるのでしょうかね。内面に深く降りて行ってほしいです。

一方、バトルアクションは凄いです。これだけのものを詰め込んだのでは、確かに人の内面を深堀りする余裕はなかったのも仕方がない。

原作では、主人公のボディは強力な仕様ではあるけれど、唯一無二ということではなかったと思います。それが本作では、地上に二つとない特別なものだという設定に変わっていて、ニュアンスが少し変わったかなと思います。ガリィの強さが何に由来するかという点がすこしぼやけた。

ま、いろいろ難癖をつけてみても、これがサイコーにかっこいい映画だということに異論はありません。アバター2も楽しみです。

もちろん続編もね。

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