「くるみ割り人形と秘密の王国」
主人公の少女の、生き生きした目が印象的な、古典のリメイク。
ドロッセルマイヤーおじさんの怪しげな雰囲気はそのまま。
原作ってどういう話だったか忘れていて、wikipedia であらすじだけ拾ってみたら、人形の恩返しのお話のようだ。
有名なバレエの方のあらすじは、ドイツ語版原作とかなり違うそうで、この映画がどのあたりを参照しているかは知らない。あまり書くとネタバレになりすぎる。
人形の国との関わりの始まりと終わりを、女性の自立と家族愛のような形にしているところは、現代風なアレンジといったところか。
見た目に騙されるなキャンペーンというのをやっているようで、映画のあらすじの方もまあ、そんな感じ。
原作では、くるみ割り人形は、心優しい女の子に一振りの剣という援けをもらって、ねずみの軍隊を打ち負かして王になり、人間世界に転生して女の子を妃に迎えに来る、という筋書きらしい。つまり、男は女の助けを借りて王国を切り取り、女に報いるというパターンだ。
ところが、この映画は面白いことに、戦争で一番活躍するのは女の子で、くるみ割り人形の方は陽動作戦で敵を引き付けるだけ。そしてご褒美に近衛隊長になるのだが、相変わらず摂政の下。腕力で国盗りみたいな王国の秩序を乱すようなことは思いもよらない、アフリカ系のイケメンだ。
なるほど現代的で笑える。
いや、冷笑的になるのはやめておこう。
クララの迸るような命の輝きを分けてもらえて、とてもよかったです。