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2018.12.24

「マチルダ 禁断の恋」

いっやー。wikipedia読むのに小一時間かかりましたわ。このニコライ二世ってとてつもない激動の一生を送った人なのね。

22歳のときの世界旅行では日本にも来て、大津事件とかいうので警官にサーベルで切りつけられたそうだけど、よく生きてたなお前。

じいちゃんが革命家の仕掛けた爆弾で爆死したのを見て、専制君主制維持に傾いたとか。父ちゃんは若い時に病死して、20代の終わりころには、もう戴冠。その戴冠式に招かれた50万人もの群衆の誘導に失敗して、ホディンカの惨事を引き起こしてしまうとか。最初っからミソつけちゃってる。

ちなみにたった一人の息子は血友病。これが原因で、お妃にとりいった有名なラスプーチンが暗躍。皇帝が西の方へ戦争に出かけている間に、ロシア宮廷を引っ掻き回すことになる。

このお妃が、映画にも登場するアリックス。ラスプーチンの言うことを聞き入れ過ぎた評判の悪い人だけれど、たった一人の息子が不治の病ではね。少し同情します。

映画では、ニコライ二世はもうマチルダに首ったけのように描かれているけれど、史実では彼女はあくまでも愛人。ニコライ二世は、最初はあまり乗り気でなかったアリックスを自ら口説いて妃に迎えたらしいから、この映画のような三角関係のもつれみたいな状態があったのかどうかはやや眉唾。

皇帝即位後も、あんまり政治には向いていなかったみたいで、日露戦争で負けるわ、血の日曜日事件で民心は離反するは、第一次大戦では自分で前線に行ってしまって首都が留守になった間に宮廷がおかしなことになってとうとう革命が起きてしまうは、ろくな展開じゃない。

ロマノフ王朝は300年くらい続いて、彼が最後の皇帝になったわけだけれど、そのくらい長いと制度疲労が限界に来るものなのかもなあ。江戸幕府もそんなもんだろうし。

ただですね。この若き皇太子がバレリーナのマチルダさんに惚れたのは、なんとなく理由がわかる気もするですよ。このマチルダさん、99歳の天寿を全うしたそうで、そういう人というのは、生命力が強いのね。たぶん間違いなく。人はそういう人に惹かれるものなのですよ。美貌とかもあるとしても。

制度の老化が激しい王朝の最後の皇帝が、そういう生命力に惹きつけられて恋をするお話、ロマンチックでよいですわね。

俳優陣も、撮影に使われたロシアの文化財を模したセットの数々も、絢爛豪華といっていいのではないでしょうか。マチルダを演じたミハリナ・オルシャンスカさん、あの「ゆれる人魚」(未見)で姉の方を演じている方です。妹が人に恋する傍らで、人を食べる姉役だった彼女が、こんどは正真正銘人と恋をします。よかったですねえ。出すべきものもしっかり出しておりますですはい。

ご期待あれw

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