「来る」
はい来ました~。
怖いですぅ。特に前半。
辛い味覚にもいろいろ種類があるように、怖さにも種類というものはあると思うのですが、この映画の場合は、身に覚えのある怖さというか。
得体の知れなさではなくて、実は知っているけど忘れている怖さ。そういう種類だと思います。人の暗黒面みたいな。
表現としては、音がとりわけ怖いです。実は映像はそんなに怖くはないんですよね。もちろん、ギレルモ・デル・トロとかフアン・アントニオ・バヨナとか映像で怖さを作るのがうまいんじゃないかという人もいますが、この作品はそこはどうということはない。血塗られた手が壁ドンとか口から血糊とか白目赤目黒目とか、グロイですが、グロいとコワいは違います。
あ、松たか子が全然松たか子にみえないのはちょっと怖かった。w
後半は、もはや怖い映画ではなくなります。ひたすら闘いの映画。
格式ばった強そうなおじさんたちも、陽気で負けを知らなそうなおばさんたちもつぎつぎ斃されていって相手の強さが引き立ちます。
んで、それを松たか子が結局一人で斃す。よいですね。王道です。
クリーチャーめいたものが最後まで出なかったのもよかった。本当に怖いものに形はないんです。
エンタメとしてもよくできていて、且つ人の心の弱さや汚さをよく描き出している、割といい作品でした。