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2018.12.14

「グリンチ」

絵がすごい。遠景も近景も同じような密度。
もちろん、CGで省力化しながら効率よく仕上げているんだろうけど、それにしてもすごいパワー。目がくらくらします。

映画だと一瞬で流れて行ってしまうけれど、本当は逐一止めて一枚一枚の絵として見たいくらい。画面が絵画的なんです。

加えて、動き。繰り返し再生して、あるいはスローで見たいほど、村の描写のときには画面のあちこちに動きがあります。散漫という言い方も当たっているかもしれないけれど、村の賑わいを表現する手法としては成功していると思います。
まあ、ウォーリーを探せ!みたいなと言えばわかるでしょうか。

それに、独特の質感。
日本のアニメとはかなり違う。水彩と油絵の違いみたいな。なかなかいい感触です。
長ーいテーブルの端と端にグリンチとマックスが座って食事するシーンなんか、背景の岩がすんごい存在感なのね。この絵いいわあ。
寒々とした構図の風景なのに、妙に温かみのある色。グリンチ、独りぼっちだと勘違いしてるけど、ほんとはそうじゃないんだよ、と無言で言っているみたい。

構図も凝ってる。
ソリを盗みにいくところで、番犬の下からのアップの向こうにおっかなびっくりのグリンチがいる。この絵、すんごく雰囲気出ていて、笑える。
当たり前に見えるけど、実はあんまり見かけない絵です。

そういうわけで、まず絵に圧倒されます。

お話の方も、典型だけれどよく練れています。グリンチ、案外いいやつだな。もっと根っからのワルなのかと思ったら、そうじゃなかった。
1話完結でいいやつになってしまわずに、もう少し引きのばしてくれてもいいんだがw

という具合で、おとぎの国のようなこってりした絵の世界で、思いがけず人間臭いやつのお話をたっぷり楽しめました。

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