「ヘレディタリー 継承」
屁が出たりーするわけじゃなくて、首がもげたりーします。まあ、カルト映画ですかね。怖いか、と言われると、手加減してるなという感じです。
本当に怖い映画をつくることは、もちろんできるのでしょうけれど、やりすぎると公開できないし、人も集まらないから、程よい匙加減が必要です。この作品は、そこをよく弁えています。
登場する大人は、さして怖くないです。怖いというより、獰猛とか狡猾とか・・異常とか。よくそんな変顔つくれるなあんた、という感じ。
ただ、女の子は・・・ちょっと怖いです。こういう子が本当にいたらね。これは演技なんでしょうけど、そうだとしたら凄い才能のある子役です。ミリー・シャピロちゃん16歳。画像を検索すると・・うん、怖くする素地はあるとは思いますね。でも笑顔は可愛いですから、やっぱり演技力の賜物なんでしょう。
はじめのうちは、心の病が遺伝するお話かと思いました。ばらまかれた伏線は、そういう方向を指していますから。
でも、降霊とかなんとかが出てきて、ガラスのコップが恥じらいもなくごりごり動いてしまったあたりから、カルト方向に怒涛の進撃がはじまります。
でも怖いとカルトは違うんですよね。怖いは不可知を基礎にしているけれど、カルトは所詮人の営為です。人には人の力で対抗すればよろしい。
結局、最後は、カルト集団が王を戴くシーンで終わるのですが、なんとなく演出も映像も間抜けな感じを漂わせています。後味を悪くしないための配慮なのかもしれません。
あるいは、アメリカにはこういう現実があるということなのでしょうか。日本はオウムで懲りたのか、あんまりカルト的な話は聞かないですが、その辺りも怖さの受け止め方の違いになるのかもしれません。だいたい厳格な管理の下で、死体は必ず火葬される日本では、こういう話は成立しないわけですし。
この機会に、これまで怖かった映画を思い出そうとしてみるものの、そういうのはさっさと忘れてしまう健康優良児みたいで、覚えがない。
とりとめありませんが、まあ、そんなところです。