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October 2018

2018.10.28

「サーチ」

これは画期的な作品かもしれない。
ネットはいまでは生活に根を張ったインフラになっているけれど、それが映画作品の中でこれほど自然に表現されたのは初めてではないか。

出だしで、家族の自分史を、PCのローカルファイルからネット上のアルバムへと移ろいながら見せていく掴みの部分などは、PCとネットの発展の歴史に重ねながら物語の背景説明になっていて、うまい。これで抵抗なく作品世界に入れました。

そのあとも、ネットあるあるが次から次へと表れて、SNSを巡る様々な今風の課題も浮き彫りにされてリアリティ十分。

それでいて、ネットオタクな方向へ流されずに、父親が娘を思う心情が基本にあり続けるところが好感が持てます。最後に明かされる、母親が息子を思う気持ちと対になっているところなども、脚本のうまさを感じさせてにくい。

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2018.10.20

「テルマ」

表面的には、何か超人的な力を持った少女が、大人になる過程でそれを自覚し、普通人との葛藤を味わいながらもその封印を解くという、カルトっぽい映画だが、そういう基本線に、いろいろな要素を絡めている。

監督インタビューでは、そう取ってほしくないと言っているけれど、そうはいってもここには、父親という抑圧的な存在との葛藤が表れていることは否定できない。エンディングはその解決だ。いや解決と言えるのか?

そのあたりの匙加減が微妙なので、ハッピーエンドとも、ダークなエンディングともとれそうな仕上がりになっている。「イエスはサタン」という作中の台詞のままに。

それだけの力があるなら、幼子も父親も、同性の恋人と同様に元に戻せるだろうけれど、そうしないところに、我々見る側は他人による支配の暗黒面を感じ取る。これがハッピーエンディングというのは、私には少し受け容れ難いが、どうなんでしょうかね。

何にせよ、キリスト教という一神教の強い背骨があったうえでの、二元論的な世界観ではありました。その時点でこの作り手は既に異端ではあるわけです。

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2018.10.14

「ルイスと不思議の時計」

ハロウィン前にちょうどいい、軽めのデートムービー、くらいでしょうか。男の子かわいかったねー、とか、女の子は中国系かなアフリカ系かな、とか、そういう話題を振ってくれて、初めて彼女と映画を見に行って会話が弾むという感じの作品です。

お話の加速感や意外感は全くありません。ほぼどこかで見たようなシーンがまったりと続きます。

一人で見に行くわたくしとしては、やはりケイト・ブランシェット様がお澄まし美人のお姉さまということで文句ありません。今回はいつもよりちょっと色っぽく仕上げてきている感じ。

ところで、女性のおひとり様は、この映画に何を見に行くのか、だれかに聞いてみたい気はします。

まそんなところですかね。

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2018.10.13

「運命は踊る」

時系列を前後させることで、ある感情を際立たせようとしたと感じられる。脚本技術に優れた作品という印象。

その感情とは「後悔」と、もうひとつ。

確かに、運命の綾も描かれてはいるが、それよりも、この自信に満ちた成功者である壮年の男の、内心の後悔が、強く出ている作品に思える。

家宝の聖書をアダルト雑誌と交換したこと。
自分が踏むはずだった地雷を別の者が踏んだこと。

この男の人生の節目のエピソードが、揃って「後悔」を指している。そして次なる最大の後悔が、運命の綾と共に訪れる。

今度のものは最愛の息子の命と引き換えだ。なぜその引き金を引いてしまうのか。押し寄せる後悔の念と同時に、自覚していなかった深い愛情が呼び覚まされる。

不思議なことだ。対象が元気でいるうちはさほど感じなかった愛情が、その者が帰らぬ人となったことで、大きく深く感じられる。

豪邸を引き払って移り住んだ質素な家で、息子の命日に、妻と共に嘆き、笑い、娘を送り出し、そして互いを抱きしめあう、その日常の時間の中に、亡くなった息子への深い愛情が表現されている。

はじめは少し際物かと思いましたが、最後のフェーズでとても深い作品になりました。

【追記】
大筋の流れはそんなところですが、息子の軍隊勤務の様子は、父親側の描写とはっきり変えて、シュールな感じになっています。イスラエルという国の状況に対する風刺でしょうか。凝った構成です。

さらには、主人公の後悔の念を通して、若者の未来を犠牲にしてでも押し通そうとする原理主義、我そのものを、作り手は描こうとした、といったら穿ち過ぎでしょうか。

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2018.10.07

「日日是好日」

樹木希林さん出演の最後の作品ということで見に行った。
俳優さんがというより、映画作品としてなかなかいい味わいだった。

「日本的」とは何かということを、ときどき考えるけど、この映画は比較的よくそれを表している気がする。

高邁な理想、大きな物語、進取の気性、そういう人を鼓舞する考え方とは異なるベクトルを持つもの。天よりも地。平穏な日常こそが実は大切であるという感覚。その芯になっているのが親子のつながり。
そんなところだろうか。

「頭で考えるのではなく手が自然に動く」ようになるまで続けて、その先に、研ぎ澄まされた感覚や、積み重ねられ受け継がれてきた知恵に気付くことに喜びを感じる心のありよう。そういうものが、作品を通じてよく表れている。

もちろん、頭で考えるといろいろ批判はできるのだけれど、とりあえずこれはこれでよしとしたい。

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2018.10.06

「イコライザー2」

無敵の仕置き人が、外道に堕ちた昔の仲間を誅殺。
という、まことにありがちなお話。

19秒で小悪人を瞬殺する導入部などは胸がすくようなところがあるのだが、相手が強敵になって長びくと逆に胸が悪くなるところがあって、たいへん微妙な仕上がり。

いかに悪を裁くからといっても、主人公が振るっているのは紛れもなく容赦ない暴力なので、そこが目についてしまうとうまくない。ピアが出口調査に来ていたから注目作なのだろうけど、何点とは答えずに素通りしました。たぶん50点くらいかなあ。

最強の敵が案外阿呆なのも大きなマイナス。先日台風の暴風雨を直に体験している身としては、あんなハリケーンの中でまともな作戦行動がとれるわけないとわかっているから、最後の戦闘シーンはかなり白ける。あんな吹き曝しの塔の上では、まともに銃身を固定することはおろか、呼吸さえ困難なはず。

さらに、個々のエピソードが、主人公の正義を補強しようとしているのはわかるけど、メインストリームとあまり関係がないので、ともすると言い訳めいた感じになりやすくて、これも微妙。

ちょっと残念な出来栄えでした。

してみると、前作はクロエ・モレッツのおかげで感情移入がうまくいったということだったのかも。

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