「モリのいる場所」
庭はひとつの小宇宙なんだなあ。
というと陳腐な感想だけど。
英国人なんかもリタイア後は小さな庭の手入れに心血注ぐという話は聞いたことがある。小さな世界もよく見れば無限の広さを持っているのだろう。蟻をただ眺めているだけではないのがわかるエピソードは、そういうことを端的に示している。
上映時間は2時間かそこらだけれど、後から気付いて驚くのは、この時間を使って、たった1日を丹念に描いていることだ。
小宇宙はそれくらいに広い。
その小宇宙を、では主人公の画家本人が排他的に維持しようとしているかというと、そうでもないところが融通無碍な感じがあってよい。
隣地のマンション建設に対する姿勢などがその表れだ。折り合いながら生きていくことを識っている。仙人などと呼ばれるのは確かに心外だろう。
ゆったりと浸れる時間を持たせてくれる作品。
山崎勉と樹木希林のやりとりも楽しい。
あ。この画家さんは実在の人なのね。
美術館まであるじゃないですか。
http://kumagai-morikazu.jp/
来週あたり行ってみようかな。