「ワンダーストラック」
親から子へと受け継がれる人の歴史を軸にした、不思議な縁(えにし)を感じさせる作品。「ヒューゴの不思議な発明」と同じ原作者の作品をもとにしており、この不思議でちょっと切ない感覚は共通している。
子役の健気さなども同様で、居場所を見つける旅にもなっている。
そこがいいところかもしれない。
すこしだけ難を言えば、主人公の少年の父はなぜ3年もの間・・という点が明かされないまま残っていること。ネタバレなので、それ以上は書けない。まあ、観客がそれぞれ想像で埋めるところなのだろう。
ジュリアン・ムーアが、いい役を演じている。懸命に普通の人生を生きてきて、もう老境に入ってから思いがけない出会いに恵まれたものの、その出会いをもたらしたのがひとつの不幸だったという、不思議な綾にぐっとくる。生きてるっていいことだね。
AMAZONが、派手なだけのSFアクションとかではなく、こういう味のある作品に資金を出している点にも留意しておきたい。さすが本屋の出自だ。いやちょっと違うか。