「ラブレス」
ロシアの国内事情とか生活実態というのは、さっぱり知らないのですが、普通に人の営みがあって、結婚とか離婚とかもあって、ということなのだなあ、ということを、この映画を見ていて思いました。
子供への愛情が薄い親だって普通にいるのでしょう。
そういう普遍的なものをこの映画からは感じました。
子どもが失踪したときの周囲の反応とか当局の対応とかボランティアの手際のよさとか、どこの先進国でも普通にあるだろうと。
むしろ過剰にエモーショナルな演出をしないだけ、真実味があります。
さてその真実ですが、なかなか正視しづらい内容を孕んでいます。
特にグロテスクでもなく、犯罪的でもなく、ごく普通に、われわれは自分を中心に生きているという事実が、これほど正視しづらいとは。
子どもという要素を投げ込むと、こんなにもそれが悪いことのように見えてくる、そこが見るに堪えないところです。
世の中に絶望している人とか、過度に楽観的な人とかは、観るといいのではないかと思う、そういう映画でした。