「ザ・スクエア 思いやりの聖域」
本音(現実)と建前(理想)の乖離を笑う映画。
まあ、それだけの話なんだけど、これをもって単純に建前を否定する勇ましい側には回りたくない。
たいていのものごとは理想と現実の狭間の程度問題なのであって、どちらかに偏り過ぎていないか常に自省するのはいいことだ。
本作のような映画は、そういうことを思い出すにはいい作品。同じ監督の「フレンチアルプスで起きたこと」と同様、ストレートで意外性はない。
いろいろ笑えるシーンがあるんだけど、主人公のキュレーターがインタビュアーの米国人女性に、コトの後で「あること」を迫られて弱々しく抵抗するところが最高に笑えます。
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https://wired.jp/2018/05/10/interview-ruben-ostlund/
この感想というかインタビューがなかなかいい。
「生存本能のスイッチが入ると、文化なんて消し飛んでしまうんだ。ぼくらは自分の行動を自分でコントロールすることなんか、できないのかもしれない。でも、恐怖が過ぎ去ってわれに返ると、再び文化を取り戻す。それが『面目を失う』という感覚、つまり『恥』だよ。この恥が生存本能を上回って、自殺してしまう人もいるよね。動物のなかで人間だけがもつ普遍的な感覚だと思う」