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April 2018

2018.04.28

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」

本音(現実)と建前(理想)の乖離を笑う映画。

まあ、それだけの話なんだけど、これをもって単純に建前を否定する勇ましい側には回りたくない。

たいていのものごとは理想と現実の狭間の程度問題なのであって、どちらかに偏り過ぎていないか常に自省するのはいいことだ。

本作のような映画は、そういうことを思い出すにはいい作品。同じ監督の「フレンチアルプスで起きたこと」と同様、ストレートで意外性はない。

いろいろ笑えるシーンがあるんだけど、主人公のキュレーターがインタビュアーの米国人女性に、コトの後で「あること」を迫られて弱々しく抵抗するところが最高に笑えます。

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https://wired.jp/2018/05/10/interview-ruben-ostlund/

この感想というかインタビューがなかなかいい。

「生存本能のスイッチが入ると、文化なんて消し飛んでしまうんだ。ぼくらは自分の行動を自分でコントロールすることなんか、できないのかもしれない。でも、恐怖が過ぎ去ってわれに返ると、再び文化を取り戻す。それが『面目を失う』という感覚、つまり『恥』だよ。この恥が生存本能を上回って、自殺してしまう人もいるよね。動物のなかで人間だけがもつ普遍的な感覚だと思う」

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2018.04.27

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」

超人がたくさん出てきてアクションで盛り上がるのは、ブロックバスター映画のひとつの典型です。X-MENとかね。

本作も、そのパターンですが、なにしろ人数が多くて、しかもどのキャラクタもこれまで主役を張ってきた者ばかりなので、もう山場のオンパレード。お腹いっぱい大満足です。
(最初っからすごい山場なんですから!)

それでいて継ぎはぎではなく物語の筋が通っており、作品に一体感があります。

サノスというキャラクタの圧倒的な存在感のお陰ですね。

この作品は彼を中心に回っています。その行動の背景に哲学があって、ヴィランのはずですがそうは見えません。彼自身もその信念を試される場面があって、主役にふさわしい苦渋の決断を下します。その結果を背負う覚悟もある。彼は無私の人なのです。そこがヴィランとは異なるところです。

そこに至る背景も丁寧に描かれています。ヒーロー側のある人物との意外な関わりなども明かされます。

配下の強力なタイタン人たちも、ごく短い描写の中でキャラが立っていて魅力的。


本作は、結論を先延ばしにするような姑息なやり方はとらず、一応の決着を見せるのですが、一体これからどんな展開が待っているのか、想像もつきません。

これまで、マーベル作品は、いわゆる正義のヒーローの勝利を描いてきたわけですが、ひょっとすると、勝利ではなく拮抗を描いていくことになるのかもしれません。サノスが幼少時のガモーラに世界の平衡を諭す場面が本作の中にありますが、それが暗示しているような世界観が今後描かれていくのかもしれません。

ブロックバスターと馬鹿にされがちなマーベル作品ですが、これが作られ続ける理由は、まだまだ描くべきことがそこにあるからだ、と誰かが言っていましたが、まさにそういう感じになってきています。

* * *

ありゃ? でもwikipedia読むと、世界の生命の半分を消滅させたのは、懸想した死神の歓心を買うためだったてなってる・・・

サノスだめじゃないか。

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2018.04.22

「修道士は沈黙する」

あまり世間のウケは良くないようだけれど、見ごたえのある面白い作品。経済至上の実利主義に流れていく世界の中で、精神主義の抵抗と一場の勝利を、静謐だが雄弁な映像で描いている。

見逃さなくてよかった。

* * *

金融屋さんが見たら、きっと異論はいろいろあるのだろうけれど、修道士は彼らとは違う地平に生きている。そして我々はその両極端の間でいつも迷っている。

この映画は、そんな迷える我々に、明確に、修道士の考えが善だと訴えてくる。

重大な秘密を打ち明けられ、戒律によって沈黙を守る修道士に対して、俗世の頂点に立つ登場人物たちは入れ代わり立ち代わり、彼を翻意させようと説得に訪れる。金の力で屈服させようとし、讒言し、あるいは世の中のためと言って脅迫してくる。

修道士の方は全く動じず、むしろ短い言葉と信仰で、あるときはやんわりと、またあるときはきっぱりと、時には無言で、圧力を押し返していく。

そんな彼に、彼の信じる神はどう顕れるのか。
会議に現れた犬の行動が象徴的だ。何が起きるかは劇場でご覧あれ。

心を持たないなどと揶揄される金融業界のお偉方でも、やはり本能的な畏れは持っているらしい。そして必ずしも一枚岩でもない。この会議室の犬のシーンは、それをとても上手く表している。

あとは、この有能で独善的で傲慢な人々に、行動を改める言い訳を与えてやるだけだ。修道士が自殺した理事に見せられた数式がその恰好の言い訳になる。


全体を通して落ち着いた空気の良作でした。舞台に設定されたホテルの簡素で豊かな空間が、ある種の神域を想わせるのもよかった。

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2018.04.20

「レディ・プレイヤー1」

これは面白過ぎる。

サブカルという言葉が生きていた時代に若者だったワタクシ達おっさんには必見の一本でしょう。

リアル世界の人物描写ガーとかの批判については、スピルバーグはもちろんわかった上でやってる。バーチャル世界の方に軸足を置いているのが本作の肝なんですから。

それに、金融だとかネットだとかの仮想空間の比重が大きくなってきている現実の中では、鼻で笑ってもいられない。

とはいえ、VRゴーグルかけて滑稽な動きをしている人々は、端から見ればやっぱりキモいですけどねw

仮想通貨や為替の相場で一喜一憂してるのと同じです。

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2018.04.15

「パシフィック・リム:アップライジング」

かいじゅうでかい。
富士山は世界の臍。
まあ、それだけ見に行く映画ということで。

結局モリマコが命を懸けて送ったデータは何だったのかとか諸々、聞いてはいけません。


そうそう、日比谷にできた新しいIMAX3Dは新しいだけあって改良されてます。縦もそれなりに長いし、輝度を上げているそうで、メガネを通しても以前ほど暗くならないのがよいです。
アバター2はこれで観たい。

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2018.04.14

「ラブレス」

ロシアの国内事情とか生活実態というのは、さっぱり知らないのですが、普通に人の営みがあって、結婚とか離婚とかもあって、ということなのだなあ、ということを、この映画を見ていて思いました。

子供への愛情が薄い親だって普通にいるのでしょう。
そういう普遍的なものをこの映画からは感じました。

子どもが失踪したときの周囲の反応とか当局の対応とかボランティアの手際のよさとか、どこの先進国でも普通にあるだろうと。

むしろ過剰にエモーショナルな演出をしないだけ、真実味があります。

さてその真実ですが、なかなか正視しづらい内容を孕んでいます。
特にグロテスクでもなく、犯罪的でもなく、ごく普通に、われわれは自分を中心に生きているという事実が、これほど正視しづらいとは。
子どもという要素を投げ込むと、こんなにもそれが悪いことのように見えてくる、そこが見るに堪えないところです。

世の中に絶望している人とか、過度に楽観的な人とかは、観るといいのではないかと思う、そういう映画でした。

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2018.04.13

「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」

メディアには、権力を監視するという役割があって、それが民主主義の重要な支えであるのは疑いない。最近のメディアの質の変化は別として。

本作はそのことを改めて思い出させてくれる。

興味深いのは、いわゆる切れ者やスマートな人々は、権力からの圧力に案外無抵抗だということ。本作に登場する、ワシントンポストの取締役はその代表格だ。社主の女性の亡くなった夫君も、そうだったのだろうと思わせる。

そうした圧力の下で、目に見える「利益」や、自身も含めた関係者の「幸福」という言葉に惑わされずに、もっと深い部分にある「哲学」に従って判断を下せたのは、常に控えめであることを強いられてきた女性社主だった。彼女が、周囲の友達に気を遣ういわゆる和を尊ぶ人から、大きな間違いに目を瞑ることはできない人間に成長するところが、この作品の眼目だろう。

その判断は、一人彼女にとってだけでなく、我々全員にとって幸いなことだった。

いま同様のことがあったときに、どうだろうか。
そういうことを考えさせる点で、たいへんタイムリーな作品でした。

スピルバーグは、これを数か月で撮りあげて世に出したそうだが、さすがです。
脚本もすばらしい。公式サイトに詳しく載っています。

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2018.04.08

「ヴァレリアン 千の惑星の救世主」

このヴィジョンは、割と好き。
映像が移り変わっていくときのめくるめく感じがよいです。

お話はあまりにも典型的なので、たぶんそれがもうひとつウケてない理由でしょうか。

ワタクシ的には、この定番な感じが悪くなかった。

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2018.04.07

「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」

評判がいいので見に行ってみたけど、どうだろう。

ドウェイン・ジョンソンが、マッチョなボディに気弱なオタクの表情っていうのを自在に演じていて、そこは驚いた。プロレスラーから役者に転じて、演技の練習とかずいぶんしているんだろうな。

一生懸命な感じがいつも滲み出ているのがいいドウェイン・ジョンソンでした。

まあ、映画の方はジュマンジだしw

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2018.04.01

「ラッキー」

これはもう、ハリー・ディーン・スタントンを称える映画。それに決まってる。しぶいのう。「名脇役」の評価とおり、すごい数の出演作で脇役を務めた。アベンジャーズで警備員までやってる。気づきませんでしたわ。

主役といえば、もちろん「パリ・テキサス」。ええのお。
たぶん自分的通算ベスト10に入ると思う。いやベスト30くらいか。

本作で彼が演じる老齢の主人公は、死の近さを自覚してある悟りを得るわけなんだけど、その手掛かりというか切っ掛けになったのは、バーで知り合った退役海兵隊員が太平洋戦争従軍時に沖縄戦で遭遇した日本人少女の死を前にした不可解な笑顔の記憶。長いので息継ぎ注意。

その悟りに達する直前に、いきつけのバーで、オーナーのマダムに喫煙を咎められて口論になり、そこで、ふと、名セリフを口にする。

具体的にどう言ったかは覚えていないけれど、所有という観念を乗り越えたその先を指し示していた。他人に所有を放棄するのを迫るだけなら単なる我儘だが、自分の所有をも同時に否定し去るのは、悟りと呼ぶほかないだろう。そして、かの少女のように彼は微笑むわけだ。
いいなあこの表情は。

この主人公は等身大のわれわれと同じように、いろいろなルールに囚われているんだね。作中を通してずっと。

それが、終盤に来て、知り合いのパーティーでふと緩む。スペイン語で愛の歌なんか披露してしまう。そうしたら、場の人たちと一緒にとても和やかな空気につつまれるのだ。
それが、最後のあの表情に繋がっている。
そういう悟りを示して見せるのが、本作の脚本の狙いであり、
そういう顔をカメラの前でつくれるのが、この俳優さんの実力だ。

エンディング・テーマも、彼、スタントンを称えている。
長い間お疲れ様でした。
よい作品をありがとう。


ちょっと勢いで書き殴ったから、ポイントがずれてる気もするが、まあいいか。
良作であることは間違いないです。

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「BPM ビート・パー・ミニット」

ゲイの映画は苦手です。よく理解できないから。

でもこの作品は、ゲイとエイズを描きながら、その枠を超えて訴えるものがあります。

以下、作品同様とりとめもなく。

物語の中心にいるのは、偏見にさらされる少数者の群像。彼らは、社会的弱者の主張を世の中に認めさせるには、黙っていてはだめで、行動しなければならないと考えています。いわゆるアクティビスト。

我々普通の人々は、日常の中で、そういう少数者に意識するしないを問わず偏見を抱いています。「だってあいつら変だよね」「そんな過激な行動をとるなんて非常識だよね」
TVでデモなどを眺めて、迷惑な奴らだなとつい思ってしまいがちな普通の我々です。

確かに彼らは私たちとは違うところがあるのですが、それでも生きている人間の一人一人に違いはありません。そのうえ、この作品の特徴ですが、エイズ患者は死の淵に向かって刻々と追いやられている人たちなのです。そこが、少数者という言葉だけで単純に括れないところであり、この作品に、ゲイの生態を描くという枠を超えて力を与えているところです。


作品は当初、そんな深刻さを見せずに、彼らアクティビスト達の生き生きした活動ぶりを描いています。ノリがよい。

毎週開かれる集会では、言葉に強さがあり、議論に節度があり、知恵あるまともな人たちに見えます。そこがこの作品のうまいところで、多少の行動の過激さを十分に正当化しています。日本のアクティビストさんたちも、少し見習うところはあるんじゃないか。


そんな彼らも、自分の健康が日々損なわれていっていることを冷酷な数値で、あるいは症状の悪化で示され、時折冷静さを失います。誰だって死の恐怖からは逃れられません。

ひとり、そしてまたひとり。昨日まで生き生きと議論し活動していた友達が、徐々に生気を失い亡くなっていきます。それが何かを強化したかというと、そうは見えないのが、この作品の現実味を支えています。

誰かが亡くなっても、昨日と同じように、明日もまた抗議活動は続いていく。何かが劇的に変わるという感じはありません。まるで、人の命が少しづつ炉にくべられて、彼らの継続的な活動の熱源になっているかのようです。爆発はしないけれど、沈静化もしない。


現実味という点でもうひとつ。本作では、彼らがどうやって生活の糧を得ているのかについても、手短に答えています。そういう描写を省かないところも評価できます。

後半、彼らの主要メンバーが徐々に弱っていくのを看取るフェーズは、少し長すぎる気もしますが、それも現実の一側面なのでしょう。賞をとるだけの価値はなるほどあるかなと思った一本でした。

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