「ブラックパンサー」
働き過ぎで疲れた頭を休ませるのにちょうどいい、くらいの気持ちで見に行ったら、これが大当たりの快作。古式ゆかしい神話的なストーリーに新しい表皮を与えたら、目の覚めるような作品になった。
これはまた美しい御伽噺だなと思って見ていたら、主要人物の最期のセリフがそのものずばりで、なんだか作り手の意識と繋がった気もしたり。
なんといっても映像が美しい。当然だが全てアフリカ系のキャスト。白人は途中で消える悪役と脇役だけ。これだけでも不思議な空気感があって引き込まれるが、加えて黒い肌に映える衣装とリズミカルな動きと音楽。素朴な風景と超科学が同居するイメージ。そういうものが違和感なく融合していて、新しいです。
洋画といえば白人俳優が中心で、黒人は常に癖のある脇役でしかないものが大多数な中で、黒人の群像をこれだけ正統的かつ自律的な存在として中心に据え、リーダーとしての貌を正面から描いているのは好感が持てる。
ブロックバスター映画の域を超えて、いい作品になっている。