「スリー・ビルボード」
これはいい映画。滋味がある。
娯楽映画ではありませんので誤解なきよう。
取り返しのつかない後悔とか、やり場のない怒りとか、そういう心に刺さったままの棘と、どう付き合っていったらいいのか。
そういうことをつらつら考えながら見る作品。
激さない。けれども折れない。それほど怒りは深い。
世俗の神とその手先など最初から敵に決まっている。
周りはすべて敵かと思うと、意外な味方がいたりする。
反省する? 悔い改める? まあそれはひとつの方法だけれど、それでも間違いを繰り返すのが、凡庸な我々の定め。
それでも最後は、時間を味方につけて、少しづつゆっくり、「道すがら考える」で終わっているのが、とてもよい。
癒えない傷を持つすべての大人に、赦しと救いを教える映画。
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