「幼な子われらに生まれ」
もちろん、いうまでもなく、いい作品。
離婚した元妻の旦那が危篤で、子供に引っ張られて見舞いに行った場面では泣けます。こいついい奴だなと。
大人も、子供も、それぞれの繋がりの形や強度があって、それをきちんと描き分けていることが、良作だなあという実感を生み出していると思います。
さはさりながら。
これを見ていると、我々がいかに核家族というものに囚われているかということが、強く思い起こされて、微妙な気分になるのです。
主人公の再婚した妻がまさにその象徴。その元夫がやさぐれる気持ちもなんとなくわかってしまうところに、自分の危うさというか、核家族を中心にしたイメージとの齟齬を感じてしまいます。
我々はこんなに核家族というものに縛られていたっけ?という。
多くの人が薄々それに気付いているからこそ、少子化がここまで進行したのではないかなと思ったりもして、何かこう喉元に突きつけられるものを感じたりもします。
良作なんだけれども、素直に見られない、そういう気持ちです。