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December 2017

2017.12.26

「オン・ザ・ミルキー・ロード」

寓話なんだけどね。
なんだけどね。

そんなに上手い技巧じゃないんだけどね。
ないんだけどさ。

すごく引っ掛かるんだよね。
それでこの監督さんの来歴を読むと、嗚呼・・と思うのよね。

この「オン・ザ・ミルキーロード」の最後は、戦争の跡にひたすら手で石を敷く作業を続ける男の姿なんだよね。

砕け散ってしまった彼の祖国は、もうたぶん一つに戻ることはないのかもしれないんだけどね。

「アンダーグラウンド」はまだ見ていないけど、どこかで観ないとな。

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2017.12.23

「フラットライナーズ」

スリラーというよりは罪と赦しのお話で、解決が割とお手軽で最後はほんわかした。といっても発案者は結局あの世へ行ったわけだけど。

怖いのはむしろ医者になるための修行の方。勉強はもちろんだけど、ミスが人の命に関わるあたりの責任の重さの方がよっぽど怖いです。

この作品はその怖さをホラー仕立てにしたような趣といえば、だいたいあっているだろうか。5人の若者のうち一番老成して、唯一フラットライナーにならなかった男が、恋人に言う台詞「もしそうなら君は医者になるべきじゃない」がにくいです。

それで最後に、赦しの話にもどってきて、大切なことを言う。そこは気付きにくい盲点で、さすがキリスト教圏の作り手は目の付け所が違うなと。

JUNOがよかったエレン・ペイジさん、大ブレイクはしないけれど堅実な女優さんになってきてますので、このままあちこちでお目にかかりたいです。

ざっとそんな感じ。

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2017.12.16

「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」

http://starwars.disney.co.jp/movie/lastjedi.html

だいたいですよ。スターウォーズっていうのは、NHK大河ドラマみたいなもんなんですよ。評判を聞いて見に行く行かないではないのです。まず見る!それからあーだこーだ言う。

というわけで夜10時半の回を待っているわけです。
取り急ぎ。


うお特攻や特攻や!
うん。まあルークはだいたいそういうやつだ。
スノークとかいうのはどうもいまいちだったけどやっぱり間抜けだった(笑)

ストーリーが無いのがスターウォーズの特徴だしまあこんなもんかな。

でも、え?君いまその箒どうやって手に取ったの?

ということでうーむ。少なくとも傑作とかでないことは確かでした。三部作の三本目は、庶民の出であるレイが、血統書付きのベンに勝って終わるんだろうな。勝ち方が問題なんだろう。

んで、そういう話はローグ・ワンで中心的に扱うべきだった。

いやーワタクシ的にはいまいちです。

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2017.12.13

「DESTINY 鎌倉ものがたり」

平安時代から続く転生で繰り返される縁(えにし)とか、どういう少女漫画な設定なんですか。でも良いので赦します。

鎌倉にそんなオカルトな空気はむろん無いと思うけど、主人公の彼女は最初っからあやしい。河童か座敷童にしか見えない。変な骨董品にぴぴっとくるみたいだし。

その彼女がまあいちいち可愛らしい。新妻の姿態全開です。堺正人の旦那とお似合い。それだけでほっこりしますね。良いです。

そんないい関係の夫婦なんてそうはいないと思うのは我々の僻みです。良いなーと思いつつ日常を改善するお手本にしましょう。


さて、愚にもつかない感想を連ねるのはこの辺でやめにして、この作品で一番よかったことを言います。主人公夫婦のほっこり感でもなければ、奥様の優しさでもなければ、貧乏神の恩返しでもなければ、亡くなった編集者転じた魔物の漢気でもありません。

最も良かったのは、悪役の天頭鬼が、如何にも悪役らしい悪辣さで主人公を苦しめたにも関わらず、夫婦を捕らえるのに失敗し逃がしてしまうときの、「ああ、また行ってしまうのか~」という悲痛な嘆きです。

普通、悪役というものはここで、恨みつらみを言ったり、罵声を浴びせたり、何かに八つ当たりしたり、地団太を踏んだりするものですが、彼、天頭鬼は、ただただ、悲しみを露わにするのみなのです。

なんという人間味のある魔物でしょう。
彼もまた、この鎌倉という、人と魔物が隣り合って生きている世界の一部なのです。決してそれと対立するものではありません。

この一言で、世界がぐっと広がる感じがします。歴史がぐっと凝縮される感じがします。

グザヴィエ・ドランはそれを、登場人物に画面サイズを押し広げさせることで表現したわけですが、そういった技巧に頼らなくても、練り上げた物語の文脈の頂に、一言を投じるだけで、それは実現できるのです。

良いですね。この作品は。

能うなら、彼、天頭鬼にも、幸が訪れるとよいですね。

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2017.12.10

「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」

いやもうね。
ファンタジーの王道。しかも心にしっとり沁みるストーリー。「コララインとボタンの魔女」以来の久しぶりのLAICA作品。力作です。

アメリカ人にも、こういう繊細で美しいものを作れる人たちがいるのかと思うと素直に尊敬します。

なにより、日本という国を、エキゾチズムの文脈ではなく、こんな風に取り上げてくれて本当に嬉しい。
私は古いタイプの人間なので、こういう話にはぐっときます。

映画としてもしっかりした組み立ての良作。ストップモーションとは思えないなめらかな動き、情感の滲み出ている表情。

ディズニーが取り上げて世界中で上映しても、全然おかしくないどころか、たいがいのディズニー映画より評価は高いはず。

言うことなしのワタクシ的本年ベスト3です。

こんないい作品が今週でおしまいなんて、すごく残念。
時間のある人はぜひ見に行ってください。

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2017.12.09

「オリエント急行殺人事件」

ホームズにしろポワロにしろ、昔の推理小説は、わりとご都合主義な感じがして。相手や事物を観察していろいろ言い当てるのだけど、それ、別の見方もできてしまいそう、という違和感を持ってしまうのです。

なので、あんまり没入はできなかった。
それでも、映像の質とか、俳優の力とかがスクリーンから放射されていて、そこは楽しめました。

ジョニー・デップは、憎むべき悪役が上手い人だけど、昔ほどじゃなくなったかも。悪そうな感じを出すのは相変わらずいいんだけど、観客から憎しみの昂ぶりを引き出すところまで行ってないというか。出ている時間が短いから、さすがにちょっと難しかったか。

ポアロ役のケネス・ブラナーさんの柔らくて深い声がいいです。この人、監督業もやっているのね。知りませんでした。

声がいいもう一人は、デイジー・リドリーさん。言わずと知れたスターウォーズ現シリーズの主役です。独特の響きがあるのね。顔でわからなくても声ですぐわかる。

ほかの俳優さんも申し分なし。
まあ、ストーリーや謎解きではなく、そういうところを見に行く映画ということで。

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2017.12.08

「グザヴィエ・ドラン バウンド・トゥ・インポッシブル」

この人ほど「鮮烈」という言葉が似合う人はいない。
情熱と才能を兼ね備えた、稀に見る人間。

ファッションアイコンのように見る見方もあるし、実際、このポートレートでは彼の作品のファッショナブルな側面にも光を当てているが、それを裏切るかのように(笑)インタビューの中で彼は常に「物語」について話している。語られるべきことがあり、それを表現するためにファッションも含めた映画技術の全てがある。それが彼の思想だ。このポートレートは、そんな彼の在りようを正しく映し出している。もっとも、このポートレート自体が、彼の企画立案だとしてもちっとも驚かないけれど。

憶測でしかないが、彼のこの表現に対する情熱は、彼が晒されている圧力への反発に由来しているのかもしれない。強い自己肯定は、彼が生き続けるために必須のものに見える。

次回作も楽しみです。

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2017.12.03

「COCOLORS」

「cocolors」と書いて「コカラス」と読ませる。元は音のない作品だったところ、声を当てて映画に仕立てたそうな。

モノクロームの味気ない世界に彩を与える人の心の様々を、色で表そうという試みらしい。

思い入れはわかるし、絵は確かにうまいと思うけれど、ストーリーが少し弱点になってしまっている。人の心はもうすこし複雑で、奥行があって、しかも思いもよらないほど強靭だ。と思う。

この作品ではそこが、ステレオタイプな描かれ方で、ちょっと残念。

まあでも、「削られて残ったところが形になって色をのせる」という表現はよかった。削られて残ったところなんだなあ我々は。

次も面白いの作って下さい。

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「泥棒役者」

大手のシネコンで掛かっているものは、本当にはずれが少なくなった。

この作品も、はじめのうちこそ強引なドタバタで、これはミスチョイスかと思ったが、途中いくつかの転換点を経て、伏線回収、みるみる収束していく。希望の持てるエンディングで、いい作品になっている。

要素の絡ませ方の妙というか、それぞれの登場人物が抱えている過去が、舞台となっている居間で展開される悲喜劇に絡んでくる、その投入のタイミングや話の繋げ方が上手い。

こういう演劇風の濃ゆい映画、割と好きです。

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2017.12.01

「探偵はBARにいる3」

もうね。
泣かせるの上手いわ相変わらず。
薄幸の女は泣かせの定番とわかっていても泣いちゃう。

「どうしてそういうやり方しかできないんだよ!」

っていう台詞が最高です。
そういう生き方しかできない不器用さ、不条理に我々は涙するのです。これはシリーズを通しての隠れた主題だと思うけど、今回はっきり台詞として出てきました。

本当はそれと対になっているはずの、
「だってこうしかできなかったのよ!」
は、いつ明示されるのでしょうか。幸薄い女たちは決してそれを口にせず、ただ眼差しだけがそれを語っているところが、より一層哀れを誘います。

思えば、1は最高に劇的に泣けて、2はちょっとドタバタ感が強すぎたけど、3でまた良くなった。この調子で続けてほしい。

ところで、このシリーズのいいところは、そういう泣かせを核にしながらも、笑いやずっこけがあって上げ下げしてくれるところなんですよねー。エンタテイメントの鑑です。

そして泣かせるにもちゃんと手順を踏んでくれる。同じような要素を盛り込んでも、見せる順番を誤れば微妙な感じになってしまうところ、きっちり筋の通った順序で、丁寧に展開してくれる。上手いなあ。これは原作の上手さなんだろうけど、それを映画でも過たずに見せてくれるのは作り手の手腕なんでしょうね。

こういうのを見ると、邦画だって決して捨てたものじゃないと思えます。充実したプレミアムフライデーをありがとうと言いたい。

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