「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」
”それ” が見えてからが、ストーリーの本番
ホラーの味付けだけれど、中身は、幼年期から青年期に移り変わっていくときの、苦くて甘酸っぱく、そして切ないお話。
取り返しのつかないこと、それを飲み込んで前を向くことを学ぶ時期でもある。
恐怖に打ち克つ感情は怒り。
群像劇の登場人物は、それぞれの恐怖を怒りの力で乗り越えていく。
だけれど、リーダー格の彼は、恐怖を別の感情で乗り越える。そこが彼を冷静だが熱いリーダーたらしめているところであり、本作を下品なホラーではなく、味のある作品にしていると言える。
恐怖を乗り越えたものの、必ずしもいい方向を向くとは限らないことをきちんと取り上げているのも評価できる。怒りと似て非なる憎悪。第2章があるとすれば、その辺りだろうか。
ホラーをあまり見ない私でも、これはいいなと思える一本。