「散歩する侵略者」
いやこれ割といい映画。流行ってないけど気になってたので、見逃さなくてよかった。
邦画らしい切れ味の鈍さとかは、これはもういつものことだから諦めて軽くスルー。
そうすると、結構いいものが見えてくる。
SF小道具を使って、人からある概念を抜き取るとどうなるか、そこから推して、その概念は如何なるものであったのか、ということを俳優の演技で見せる。
家族とか、所有とか、自由とか、自分とか、仕事とか、邪魔者とかを、順繰りに見せていく。
この概念を侵略者に抜き取られると、その人は、それまどとは打って変わった態度や行動をとるようになる。その変化がおもしろい。
そういうお話のプラットフォームを作っておいて、これは最後はアレに関する禅問答だなと予想して見ていると、ほぼ想像どおりの展開。
と思ったら、実は、一回踊り場で折り返す。教会の牧師の方が一枚上手でした。職業としてそういうものを扱っていると、やっぱり一般人ではかなわないですね。
肩透かしを食ったけど、まあ、アレを突き詰めると碌な映像にはならなそうだからよかったなと重荷がなくなった気がして。
それで、いったん見る側の関心は、侵略の方へ移る。アクションとか多少あったり、厚労省のお役人がなぜかマシンガン軍団を引き連れて現れたり。ちょっと波乱。最近、厚労省、映画に出てくること多くないですか? しかも重武装で。
ま、それはそれとして。
最後は・・・やっぱりそれかー。
まあいいじゃない。
ホラーでは全然ありませんので、お間違えの無いように。
ヒューマニティの映画です。