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August 2017

2017.08.27

「関ケ原」

「関ケ原」

実力のある俳優を使った筋の通った時代劇。

光成と家康の違いは、いろいろな視点で繰り返し描かれているのだろうけれど、この作品では、仕える忍者に象徴させているのがなかなかうまい。

一方は、義を大切に、大将に尽くして、大将が処刑された後も生き残る。
もう一方は、能力を大将に認められて取り立てられるが、最後は道具として盾にされ殺される。

どちらがどうというものでもないけれど、お話が立体的になって、いい作品に仕上がっている。

時代劇も、しっかり作れば十分鑑賞に堪えるものになるという好例でした。

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2017.08.25

「パターソン」

変化の小さい落ち着いた作品。感想はとても書きづらいが、無理にでも書いてみる。


はじめ、この主人公は妻をいったいどう思っているのか疑問に思った。

顔の造りが大柄なアダム・ドライバーが見せる表情は、むしろ、妻のことをそれほど好きなのかどうか、よくわからない印象だ。カメラが捉える彼の顔はむしろ、日常の退屈や、些細な事柄のさざ波、我々の日常生活で感じるのと同種のものを率直に写し出して揺れ動いている。

そうした日常の些事よりも深い層に流れているものは、彼がノートに書き留める詩の中に現れる。表には現れない彼の深い感情の、いわば窓となっている。

ノートに書き綴られる彼の心を覗き込んで、我々は彼の妻に対する深い想いを知る。外観の記述が多いのは、まあそういう文化の現れなのだろう。

一方その妻だが、これはかなり自分を中心に世界が回っている。この主人公のような寛容で大人しい男であってはじめて夫の座が務まるような、というと悪女のようだが、まあ多少はそうだろう。ギターをおねだりするところなんかね(笑)。

そういう妻に惚れ込んでいて、そこからくる負担を引き受けていて、そのストレスがお話にささやかな波を立てている。平凡な男の人生に、面白味を加えているといってもいいだろうか。なるほど、こういう受け身な人間には、少し自己中な妻の方がよいのかもしれない。

肌の黒い友人が報われない恋に身をやつしているのとも好対照だ。それでいてこの二人の男の間にも、普通の友情は廻っているようにも見える。

さて、妻が挑戦したカップケーキの即売が成功し、そのお祝いに久しぶりの映画を二人で観に行ったのが、大きな波が立つきっかけだ。留守の間に飼い犬が彼のノートをビリビリに破いてしまう。彼の心の奥を映し出す窓は粉々に割れてしまった。

この衝撃がどれほど大きかったかを、私たちはアダム・ドライバーの演技を通じてじわじわと感じ始める。がさつな普通人である我々は、まあコピーを取っておけばよかったね、とか、思い出しながらまた書けばいいさ、とか思うところだが、そこは繊細な主人公のこと。このショックから容易には立ち直れない。

妻は妻で責任を感じて、大仰な身振り口ぶりで謝り慰めようとする。あれほど想っている妻にそうまでされれば、主人公もすぐに元に戻るかと思いきや、あまり効果は表れない。彼の負った傷の深さ、妻への想いとの質の違いを我々は知る。

詩を書くことは彼の命の源であり、妻というのはその主要な題材なのだ。どちらも欠かせないものだけれど、質は異なるものなのだ。

放心しつつ散歩に出て、公園のベンチで日が暮れるまでぼんやりしていた彼の横に、そっと腰を掛けたのが、風変わりな東洋人。

自分もノートに詩を書き連ねているというその東洋の男と言葉を交わすうちに、主人公の心は少しだけ潤いを取り戻す。亡くしたものは帰ってこないが、また少しづつ書くことはできるだろう。

なんだかジーンとくる流れの、ちょっと変わった作品でした。


ところで、双子については謎のままだ。
監督のちょっとした気まぐれなのかもしれないが。


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「ワンダーウーマン」

いやでも町の鐘楼をぶっ飛ばしちゃったらいかんだろう。w 勢い余ってはわかるんだけど。もうちょっと頭を使ってくれないと。どうやって修復するんだ。

そうか。だから今は美術館勤務で、なんとか修復しようとして・・いや違うか。w


予告編の出来のよさを裏切らない、期待どおりの派手なアクションで、そこは大満足でした。アマゾネス嘘つかない。

予告に出てくるいかにもな敵役を倒すまでは第一段階ワンダーウーマン。ここまではまあ理解できる範囲。

でも、ボスを倒したはずなのに戦争は終わらない。当り前ですわ。戦争は政治の道具なんだから。ワイズマンを倒しても戦争は終わらないとか、キリコ・キュービーですかあなたは。

そして現れる真の敵。絵に描いたような普通の筋書。良い子ならTVの戦隊もので毎週見てるからすぐわかる。第二段階に突入。

この敵が、ちょっといまいち。なんだかなよっとしているし、弱い。台詞なんかも、一体どこの漫画からコピペしたのかっていう・・
そうだ。原作は漫画だった。

そこで、はたと、見ている側は悟るわけです。

これは、漫画世界から出たものだけれど、漫画の質感とは全然違う、ガル・ガドットという宝石を磨き上げて観客に供する映画なのだと。
だから、それ以外の要素は、観客の頭に残るようなものであってはいけないのだと。

作り手の意図どおり、ワタクシの脳裏には、「ガル・ガドット=ワンダーウーマン=かっこよくてかわいくてつよいけどちょっと直情的」の図式がしっかり焼き付きました。

次は「ジャスティス・リーグ」。ブルース・ウェインとの交流など伏線も引けて、期待が膨らみます。


それはそれとして、女性ヒーローの決めポーズって難しいですね。
それと、子供の性教育は、お母さんが粘土をっていうところから始めるというトリビアを得ました。

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2017.08.16

「ボン・ボヤージュ~家族旅行は大暴走~」

まあ、コメディなんだけど。
笑いの仕掛けがわざとらしいのがちょっと気になる程度で、それなりに突っ走っている感じ。下品さも抑え目で、一般向けとしてはよいのじゃないでしょうか。

電子制御って確かに気分的に怖いところがある。普段からよくフリーズするPCなんか使っていればなおさら。最近あまりフリーズしないけど。

現実には、いつでも自動機構をOFFにできるようにするだろうから、まあ映画みたいなことにはならないと思うけど。

夏の終わりに頭空っぽにするには、いいかなくらいの作品。
フランス人も結構おバカな映画つくっちゃうのね。嬉しいです。

見た後で、あれ実際に100キロオーバーで車を走らせながら撮ったと聞いてびっくり。このおバカは本物です。

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2017.08.14

「時をかける少女」

ヒューマントラスト渋谷で、原田知世出演作を連続上映するというので、その中の「時をかける少女」を観ました。原作:筒井康隆・監督:大林宣彦で、大林監督の尾道三部作の2にあたる、話題の作品だそうです。この頃は私はまだ映画など見たことがない少年だったので、当然、見ていません。

それで、率直な感想を言うと、古色蒼然。演出も演技もいまいち。というとまだ優しいくらい。まあ、アイドル映画だから仕方がないですね。

素材としての物語は良いものなので、後年、それを生かしたアニメ版などはとてもよい出来だっただけに、時代というものを感じてしまいます。

良くも悪くも、日本の社会はずいぶん成熟してきているんだなということを感じました。能年玲奈主役で、リメイクしないかなあ。

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2017.08.12

「カーズ/クロスロード」

どうも世間の評価は低いらしいのだが、ワタクシ的には「カーズ」シリーズのうち最高の1本と言いたい。理由はここでも「世代交代」を正しく描いているから。

「ディストピア パンドラの少女」でも感じたのだが、世代交代というのはいま、個人的には結構刺さるテーマなので。

たぶんこういう作品は、若い人にはまだ早いのだろう。世代交代で居場所を空け渡さなければならない世代が見て、何かを感じ取るべき作品だ。

それなのに劇場は小さな子連れのお母さんがほとんど。公開されてから大分時間が経って、興行側もなんとか客数を稼いで少しでも元を取りたいのだろうけれど、なんかマーケティング的に間違ってるよなあ。

辛いです。子供には分かるはずもない味のあるいい作品なのに。

まあでも、この作品のおかげで、「カーズ」は綺麗に終わることも可能になった。もちろん続けてくれてもいいですけどね。

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2017.08.11

「スパイダーマン ホームカミング」

3分の2くらいまでは退屈で困った。
ピーター・パーカーの独り相撲を延々見せられて。

ところが、敵役の意外な素顔がわかった瞬間から、俄然面白くなる。そういう伏線だったのか。

スパイダーマン作品の毎度の売りは、身近な人間が敵になる葛藤だろうし、本作でもその基本を守っているけれど、こういう見せ方は意表を突かれた。上手い。

そうしてみると、前半のぐだぐだ感が、実は計算されたプロセスだということになって、これはちょっと座りなおして、ちゃんと見ようかという気になる。

この敵役の立ち位置がまた絶妙。つまらない悪役にありがちな征服欲とか肥大した自我とか妬み嫉みとか、そういうものは全くなくて、生活のために悪事と知りつつやっている。正義を気取るアヴェンジャーズに目を付けられないように細心の注意を払って、やりすぎないようにしている。

こういう中身のある敵役は珍しいんじゃないか。その小物的現実感覚、己を知る戦略に好感が持てます。彼には彼の正義がある。よく見ると演じているのはハンバーガー帝国創業のおっさんだし。

そういう身近な目線に合わせて、大事件の割に死人が出ない展開になっているのもいい。
スパイダーマンが激闘の末に敵役を助けるのもいい。
事件が解決して晴れて憧れのチームに入れてもらえるというところで彼がとった行動もいい。そこに微妙な勘違いの空気を含ませたのもいい。
最後におばさんにまずいところを見つかってあわやというシーンで切ってコミカルな空気を取り戻した終わり方が最高にいい。上手い。
スタッフロールの途中で、服役した敵役が見せた反応もいい。

という具合に後半は怒涛の「いいね!」の連続で、前半と打って変わって満足度高いです。途中であきらめずに最後まで見ましょう。

キャプテン・アメリカを、大きな物語があった古い時代の象徴に仕立てて道化に見せるなど、地に足の着いた明るい未来wを感じさせる、いかにもミレニアル世代のスパイダーマンらしい作品に仕上がっておりました。

ワタクシ的な希望としては、主演の男の子はともかく、次もマイケル・キートンおやじに頑張っていただきたいです。

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2017.08.04

「トランスフォーマー 最後の騎士王」

映像がすごい。ただひたすらそれだけ。

ストーリーとかは、まあ置いといていいです。
カットのつなぎ方も、まあどうなのかと思います。途中すっ飛ばしちゃうんですよねこの監督は。

でもいいんです。この人はそういう人じゃなさそうなので。


ここに、この作品の凄さについてたっぷり書かれています。
https://wired.jp/2017/08/03/tf5-imax/

日本にはこの縦にも大きいIMAXが大阪にしかないそうで、少し残念ですが、手近なところでなるべく大きな画面ということでTCXで観ましたが、いやー凄い。

イギリスの風景の中にCGのトランスフォーマーがしっくり嵌まっているのですよ。都市の中ならいざ知らず、こんな誤魔化しようのない一面の芝の中で、これは新鮮な感覚です。

縦方向の展開もすごい。海の底から空高くまで、縦横に移動する間の、その感覚は、ちょっと他にはないです。

まあもちろん、「アップサイドダウン」とか、「さかさまのパテマ」とか、秀逸な作品はあったわけですが、CGを使ってこれほど高精細な画面で見せられると、もう圧倒されます。

いやーいいもの見せてもらいました。
でもこんな凄い映像作っちゃって、次はどうするんでしょうね。

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「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」

世界のMにはそんな歴史があったのか。知らなかった。

一旗あげたい中産階級がたくさん居て、優位性のある店舗運営のコンセプトがあって、それを結び付ける起業家と資金の出し手が居て、という、フランチャイズ展開のお手本のようなお話。

フランチャイズというものは、多店舗展開のスピードを上げリスクを分散するために、資金を持っているオーナーを募集して店舗を立ち上げるのだと思っていた。

このお話の中では、その逆を行って、開店資金(土地代)のリスクは本部が負担し、オーナーは一種の店子となる。本部が大きなリスクをとって、大きく儲ける形。

そういうと、なんだ普通じゃないかと思うかもしれないが、そういう発想が一般的ではなかった時代に、住処を抵当に入れてでもやり始めたのは、やっぱり大したことだ。

そのハブになっている男の素行にいろいろ問題があるという話も、ここではある種の彩に見えてくる。だいたいそういう人はそういうものだし。

見るべきは、彼のブランド形成における感覚の良さ、コンセプトを貫き通そうとする執念、そういったものだろう。

世の中全体が伸び盛りだった頃の、夢のあるお話でした。
きっと新興国は今まさにこういう感じなんだろうな。

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