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2017.07.08

「ディストピア パンドラの少女」

今年に入って、ワタクシ的に最も面白いと言える作品。

お話はわりとありがちなパンデミック+人類滅亡もの。その種の作品は数多ある中で、これがなぜとびぬけて面白いかというと、ある種の世代交代を描いているから。

その希望と悲哀、立ち上がる側の新たな力と狡知。滅びゆく側の足掻きと諦め。そして、共存不可能と思われた両者の間で、受け継がれる文化と美学。交わされる敬意。教えと学び。善も悪もひっくるめて、新しい世代が飲み込んでいく。そういうものを、くっきりと描いて見せているから。

これを希望と見たのが、原題の"The Girl with All the Gifts"。
これを絶望と見たのが、邦題の「ディストピア」。
作品は両方の色合いを帯びて鈍く輝いている。素晴らしい。

こういう、見たような筋書なのに、全く新しい印象を与える作品というのは、そうはない。「カズオ・イシグロmeetsウォーキングデッド!」という評に深く同意。

必見の一本。

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