「ウィッチ」
残念。ちょっと期待と違うものを見せられた。
たぶん、こういう作品に何かを感じるには、あまりに時代が進み過ぎて、権威は廃れ、リアリズムが普遍的になり過ぎた。
私には、信仰というものはどうやらなさそうだし、一神教の行き過ぎというか、災厄を説明できずに二元論に戻ってくるような嘘っぽさは、どうも好きになれない。
ワンボタン最高とか言っているApple信者は、右ボタンという名の力ある魔女に呪われておしまいなさい(笑)
つまらない冗談はさておき。
そういう知った風なことが言えるのは、現代の世界を飲み込んだ巨大な文明社会が裏できちんと機能しているからであって、荒野で誰の助けもなく孤立して飢えていけば、誰でも簡単に動物に戻り、短命に終わるのはたぶん間違いないだろう。
さしたる生活力もない私のような者は、野性の呼び声に耳を塞いで町の中で健康保険のおかげを蒙りながらぬくぬくと長寿を甘受するのが分相応というものだ。
ああ。そうか。なんとなくこの作品の価値がわかってきた。
これはつまり、カンキョーとかケンコーとかエーアイとか言ってひ弱になった人間たちへの警告なのだ。そうだそういうことにしておこう。
* * *
そういいつつも、別の見方をすれば、傲慢な一家を追放した村の支配層の色欲と陰謀だという説もありそうなんだけどね。
主人公以外の一家が死に絶えたあとに現れた、靴音の男は誰?という点を起点にすれば。
魔女が生まれるからくりは、そういうことだという見方。
気が滅入るけど。